ワンちゃんは何でもガツガツ食べてくれる子ばかりではありません。
生まれつき食の細い子や食いつきの悪い子はいるものです。
ドッグフードを与えてもすぐに食べなかったり残してしまったり。
こういうワンちゃんを偏食させないように注意しながら育ていくのは本当に大変ことですね。
この記事では、そんな性質のワンちゃんにドッグフードを食べてもらうための工夫について考えてみました。
日頃、愛犬の偏食に手を焼いている方はぜひご一読ください。
Dr.ノブ
タロ
夏バテなどで食欲が落ちている時や体調が悪くて食欲が落ちているようなら、以下の記事を参考にしてください。


目次
野生では狩りをして食べ物にありついても次にいつまた食べられるかはわかりません。
なので生きていくための本能としてしっかりとお腹を満たすのが普通で、食が細いとか食べ物があるのに食べないなんてことでは生存競争に勝ち抜いていくことはできないのです。
ところが長年、人間に飼われてきたことでその本能はすっかり薄れてしまっています。
時間になったら何の苦労もなくドッグフードが目の前に出てきちゃうんですから。
ワンちゃんだって上げ膳据え膳では怠惰にもなりますよ。
そこで食べ物はいつでもありつけるという感覚をこわす意味で、食事を与えて食べなければあるいは残していれば、10分ほどで全部引き上げてしまってください。
そして、次の食事の時間まで何も与えないようにしましょう。
ずっとそのまま置いてあると、いつでも食べられるのでよけいにダラダラ食べてしまいます。
また、食べないでいることで何か別のおいしいものを出してくれるのではないかと期待させてしまいます。
食べ物がある時に食べないと飢えるということを学習させましょう。
Dr.ノブ
かわいそうだからとおやつを与えたりしたら台無しですよ。
人間は朝起きたらすぐに食べ物にありつけます。(事前に買い物をしておく必要はありますけどね)
飼われているワンちゃんの場合も何の労力もなく時間になったら眼の前にドッグフードが出てきます。
しかし、野生では草食動物なら起きてすぐ眼の前に草があって食べることはできますが、肉食動物ではすぐに食べ物にありつけるなんてありえないことなのです。
まずは狩りをして獲物をゲットして初めて食べることができます。
つまり、狩りという運動をした後に食べるという行為があるのです。
この自然の流れに則って、散歩(運動)に行って帰ってきてからドッグフードを与えてみましょう。
エネルギーを消費することで体がエネルギー源を欲し食欲がアップすることが期待できます。
ただし、拾い食いをしてしまうワンちゃんでは食べてから散歩に行くほうがいいかもしれません。

これも本能を利用した工夫です。
狩りというのは獲物を追うという運動だけではありません。
獲物を探すことや見つけたらどういうふうに追い詰めるかなど頭を使います。
イヌ科の動物は集団で狩りをするのでお互いの連携などパズルに近いものがあります。
つまり、食べ物を見つけるには体を動かすだけではなく頭を使うことも大事なのです。
そこで、ドッグフードを与える時もただ食器を置くのではなく、毎回違う場所に置いて探させて狩りの本能を刺激してみましょう。
食べ物にありつくのにひと苦労することで食欲を刺激することが期待できます。
コングというドッグフードを入れると少しずつしかフードが出てこない特殊なおもちゃがあります。
コングを使うことも同じような効果が期待できるでしょう。
ドッグフードを食べる食べないとリーダーシップって関係あるの?って思うかもしれませんね。
でも、ワンちゃんのほうが偉くなっちゃって飼い主さんがリーダーシップを取れていない、いわゆる”アルファシンドローム”の場合にはドッグフードをなかなか食べてくれない子がとても多いのです。
リーダーシップをとれているかどうかはワンちゃんの食いつきにおおいに関係してきます。
その理由の1つは、アルファのワンちゃんは甘やかされておやつや人の食べ物をいろいろもらっている子が多く、食べ物の好き嫌いがはっきり出てドッグフードを食べなくなってしまうということ。
いわゆる舌が肥えてきた状態ですね。
もとが食の細い子にこれをやってしまうと激しく好き嫌いのある子になってしまい、ドッグフードを一切食べないことも珍しくありません。
もう1つの理由は、アルファの子は飼い主さんの指示を守る気がないことです。
意味わかりませんよね。どういうことか説明しますね。
リーダーシップがしっかり取れている場合、ワンちゃんからみて飼い主さんが食事を与える行為には”食べなさい”という指示(命令)が含まれているようなのです。
このことは病気の時にはっきりします。
病気でまったく食欲が無いときに、飼い主さんに消化のいい食べそうなものをいろいろ試してもらうと、がんばって一口食べたりペロッとなめたりだけはする子がいます。
こういう子は例外なく飼い主さんのいうことをよく聞く子、つまり飼い主さんがリーダーシップを取れているケースなのです。
リーダーが食べ物を差し出したらそれは「食べて」という指示。
その指示に答えようと、どんなに食欲がなくても口をつけようとします。
元気で食欲がある時も与えられたフードは飼い主さんの「食べて」という意味合いを含んでいます。
飼い主さんの指示に反して、好き嫌いで食べないことは起こりにくいのです。
リーダーシップのとれている場合すべてに当てはまるわけではないですが、信頼関係の厚いケースでよくみられます。
逆にアルファの子の場合ではそういうことはありません。
飼い主さんの思いはどこ吹く風で、気にいらなければ頑として食べないのです。
アルファの性質が強いワンちゃんでは、アルファの矯正にも取り組まないと食生活を変えることはできないかもしれません。
タロ
複数の子どもが生まれる犬では、ミルクのよく出るおっぱいを兄弟で奪い合います。
そして兄弟の中で強い個体がいいおっぱいをゲットするのです。
つまり、生まれたときから生存競争が始まっているということ。
それはフードを食べるようになっても同じで、器に入れられたドッグフードを兄弟で貪るように食べるわけです。
好き嫌いなんて言ってられません。
ぼやぼやしていたら兄弟犬に全部食べられてしまいますからね。
この性質は大きくなっても変わりません。
1頭だと好き嫌いでドッグフードをなかなか食べないワンちゃんでも、もう1頭飼ってライバルを作れば競争するようによく食べるようになることが多々あります。
それまで食べ物に苦労していた子がウソのようによく食べるようになったことをよく耳にします。
可能であればもう1頭飼ってみるのも1つの方法です。
ただし、ワンちゃんの性格によっては新入りを受け入れない子もいるので愛犬の性格を考えて慎重に。
子犬は受け入れられやすいですが、成犬を新しく飼う場合は事前に顔合わせをして相性をチェックするのが無難ですね。
ドッグフードを食べてくれない時は悩んであれこれ違うものを与えてしまったりしがちです。
でも元気で病気の心配がないのなら、いろいろ与えるのは逆効果です。
1食2食抜いたところで大したことはありません。
どーんと構えていましょう。
食べ物の内容よりも、環境や行動からアプローチして食べるように仕向けるのがポイントです。