フードローテーションのメリット・デメリット徹底解説!必要なのか?不要なのか?最終回答は…

フードローテーションという言葉を聞いたことがありますか?

愛犬に食べさせるフードを1種類と決めず、何種類かのフードをローテーションして与える給餌方法です。

ネットを検索すると、フードをローテーションをするべきという意見とフードローテーションは必要ないという意見に真っ二つに分かれています。

一般の飼い主さんが読んでいても

「フードローテーション必要なの?必要ないの?いったいどっち?」

と迷ってしまうでしょうね。

両派ともにポジショントークがかなり入っているので、もっともらしい言い分をそろえていますから判断は難しいかもしれません。

メーカーによっては一押しのフードをずっと食べて欲しいから必要ないと言いますし、いろんなラインナップを揃えてローテーションを薦めているメーカーではローテーションのメリットを声高に言います。

ドッグフードサイトでは押しているフードメーカーの肩を持つので、これまた2つに分かれてしまうことに。

そこでどっちの肩を持つことなく獣医師の立場から、フードローテーションのメリット・デメリットを徹底的に解説したいと思います。

Dr.ノブ

手作り食の場合はフードローテーションは必須です。
いろいろ食べられるのはいいかも。

タロ

フードローテーションのメリットとされること

まずはフードローテーション推奨派が挙げるメリットは、

  • いろんなものを食べることで好き嫌いをなくす
  • ローテーションすることで栄養が偏らない
  • アレルギーになりにくい
  • 胃腸が強くなる

一般に言われていることを集約すると、だいたい上の4つにまとめられます。

それぞれの言い分について詳細にみてみましょう。

いろんなものを食べることで好き嫌いをなくす

・ずっと同じドッグフードを食べていると、フードを切らしてしまったりして他のブランドのフードしかない時に食べてくれない。

・ローテーションしていないと病気などで食欲が落ちてしまった時に、栄養価の高いものや食べやすい別のフードを受けつけてくれない。

・日頃からフードローテーションをして、いろいろなタンパク源や材料の味に食べ慣らしておくことで好き嫌いがなくなる。

ローテーションすることで栄養が偏らない

・1つのドッグフードに限定していると、摂取する原料の種類や量が一定なので栄養が偏ってしまう。

・同じフードをずっと食べていると添加物や不純物が蓄積して健康被害が出やすくなる。

・フードローテーションしていれば、バラエティに富んだ動物性タンパク源や原料から栄養を摂取でき偏らない。

アレルギーになりにくい

・一定のフードをずっと食べて同じタンパク源を長期に摂取することでアレルギーになる可能性が高くなる。

・いろんなタンパク源のフードをローテーションすることで、特定のタンパク源がアレルゲンとなる可能性が低くなる。

胃腸が強くなる

・一定のフードを食べていると、消化器はそのフードを消化するのに適応した状態になっていく。

・そのため、他のフードを食べた時に適応できず、下痢など体調をくずす可能性がある。

・さまざまなフードにローテーションすることで、あらゆる食材に適応できる強い消化器になっていく。

フードローテーションのデメリットとされること

次にフードローテーション反対派の挙げるデメリット。

  • 好き嫌いが激しくなる
  • 手間とコストがかかる
  • 病気なった時に原因を特定しにくい
  • 胃腸に負担がかかる

世間で言われているのは、だいたいこのようなことのようです。

詳細については以下の通り。

好き嫌いが激しくなる

・フードローテーションしていろんな味を覚えていくことで、舌が肥えて嗜好性が強くなる。

・味にうるさくなり好き嫌いが激しくなる。

手間とコストがかかる

・ローテーションするために数種類のフードをそろえないといけないのでコストがかかる。

・風味が落ちたり賞味期限が切れて途中で処分する必要がでる。

・そのためコストの高い小袋で買わなければいけない。

病気なった時に原因を特定しにくい

・ローテーションしているとアレルギーが出てきた時にどのフードのタンパク質がアレルゲンとなっているか判断しにくい。

・フードによる下痢などの症状があった場合にもどのフードによって起こったのかわかりにくい。

胃腸に負担がかかる

・フードを切り替えるときには、急な変更で下痢や嘔吐することがあるので徐々に変えていく必要があるように、フードの変更は胃腸に負担がかかる。

世間で言われるフードローテーションのメリット・デメリットについての解説

こうして両者の意見をみてみると、正反対のことを言っているのが目立ちますね。

どちらかが嘘を言ったり間違えているのでしょうか?

ひとつひとつ取り上げて解説していきましょう。

フードローテーションで好き嫌いがなくなるのか激しくなるのかどっち?

フードローテーション派は「好き嫌いがなくなる」、否定派は「好き嫌いが激しくなる」と主張しています。

はい、まったく正反対の意見ですね。

どっちかが間違っているのでしょうか?

いえいえ、これはどちらも正しいのです。

ワンちゃんの性質で違ってくることで、好き嫌いがなくなる例もあれば激しくなる例もあります。

一般に、普段ずっと同じドライフードを食べているワンちゃんでは、たまにフードを変えると喜んで食べるものです。

美味しそうなウェットフードを与えようものなら、一心不乱で食べ続け、すっかりカラになってもいつまでもベロベロ名残惜しそうに器を舐めたりします。

多くはこのような反応を見せるのですが、違うフードを与えると見向きもしない子がいるんですね。

食べ慣れたフードしか口にしない。

ほぼ同じような原料のフードでも、すぐには食べず恐る恐る確かめるように食べます。

このような気質のワンちゃんでは、日頃からいろんなフードローテーションしていろんな味に慣れておかないと、いざという時に他のフードで代用できないということがあります。

統計があるわけではなく肌感覚ですが、神経質な警戒心の強いワンちゃんに多いようです。

しかし、大多数のワンちゃんでは、フードローテーションしていろんな味を覚えていくことで舌が肥えてしまう傾向が強いです。

生まれつき食いしん坊の子なら、味を多少覚えたところで何でも食べてくれるので問題にはなりません。

しかし、もともと食の細い好き嫌いの傾向がある子にフードローテーションを取り入れると、好き嫌いが激しくなってしまう可能性が大。

エスカレートすると人の食べ物やおやつなど好きなものしか食べなくなり、フードローテーション自体できなくなってしまいます。

このような気質のワンちゃんでは一定のフードだけを与えるほうがいいのです。

一定のフードだと栄養が偏る?

フードローテーション派がよく言う、

「フードを固定すると栄養が偏る」

「ローテーションすることでまんべんなく栄養を摂取できる」

という意見について考えてみましょう。

調べてみると、もともとフードローテーションは手作りフードを与えている人たちの間でよく行われていたようです。

ホームメイドの場合、1食に必要な栄養を網羅することは困難なため、毎食、材料を変えていろんな食材から栄養を摂取することが必要です。

MEMO
海外の調査では、手作りは栄養のバランスが悪く、ローテーションしても栄養不足が解消できなかったと報告されています。

人間でも毎食違うものを食べるだけでなく、一時は「30品目を食べよう」という標語が掲げられていたくらい、多様な食品から栄養を摂ることが勧められています。

ワンちゃんの主食であるドッグフードでも、ローテーションによって多様なフードを食べさせて栄養の偏りを防ごうということなのでしょう。

しかし手作り食と違い、総合栄養食であるドッグフードはそれだけで栄養のバランスが取れているもの。

ローテーションする必要がないように、不足分は栄養添加物によって調整されています。

なので、栄養が偏らないようにという理由は総合栄養食のドッグフードでは当てはまらないのです。

数字に表れない微量な栄養素の偏りがないとは言えないので、フードローテーションの意味はないとは言いませんが、その役目はおやつや副食などでカバーできるのではないでしょうか。

また、添加物の蓄積を予防するためにフードローテーションに意味があるという意見もありました。

たしかに各フードがさまざまな添加物を使っているのなら、ローテーションすることで健康被害が起こりにくくなるという効果は期待できます。

しかし、一般フードでも合成保存料や着色料不使用の製品が増えてきている近年では、この意味合いも薄れてきています。

心配なら無添加フードを食べさせればいいだけの話です。

本当にアレルギーになりにくくなる?

フードローテーションのメリットとして、

「アレルギーが起こりにくい」

というのもよく言われることです。

人の方で一時、食べ物をローテーションすることでアレルギーの予防になるという話があったことも影響しているようです。

ひとこと!後に、科学的に根拠のないということが厚生労働省からアナウンスされています。

言い分としては、1つのタンパク源をずっと食べているとアレルゲンが蓄積されていくとか、アレルギーが起こりやすくなるとのこと。

確かに一昔前までは、多くの獣医師が同じものをずっと食べ続けることでアレルギーを獲得すると考え、僕自身もそのように説明してきました。

しかし最近は、アレルギーを獲得するのは離乳期前後の短い期間だと考えられるようになってきています。

腸内細菌叢や腸管内免疫が成熟した成犬では食物に対して免疫反応が起こりにくく、あらたにアレルギーを獲得することはほとんどないのだそうです。

子犬時代にアレルギーを獲得しても、初期症状は軽く見落としやすいため、気づかないままアレルゲンの入ったフードを食べ続けることに。

食べ続けることでアレルゲンに対する免疫が強化され、やがて強い症状が出てくることになります。

この様子は見かけ上、同じフードを食べ続けたことでアレルギーを獲得したように見えてしまいます。

なので、アレルギー獲得の予防ということではフードローテーションに効果はありませんから、アレルギーを持っていないワンちゃんに意味がありません。

一方、アレルギーを獲得してしまっているワンちゃんではアレルギーを強化しないという意味で多少の効果があるということになります。

手間とコストについて

フードローテーションはコストがかかることや手間がかかることがデメリットとしてよく挙げられます。

普通に考えると、同じ価格帯で同じ量を食べるのなら、1つのフードを与え続けるのもローテーションするのもあまり変わらないように思えます。

しかし、ローテーションした方がコスト高になってしまうのは事実です。

1つは、好き嫌いがある子の場合、食べ飽きてくるとローテーションしているフードの好みがはっきりしてきます。

好みのフードは食べてくれても、好みでないフードはだんだん食べなくなって残りを処分することになる、というケースは往々にしてあります。

1袋食べきるごとにローテーションしていくという方法もありますが、好き嫌いが強くなってしまったらローテーションのサイクルが何日であっても、好みでなくなってしまったフードは食べません。

結局あらたにフードを探すことに。(それを食べてくれる保証もありません)

フードを無駄にしてコストが上がってしまいます。

もう1つのコスト高になる理由は安い大きなパッケージが使えないこと。

大袋だとローテーションする間に劣化が起こってしまいますから、小さめのサイズでローテーションする必要があります。

1袋食べきるごとに変えていくという方法ならいけますが、大きなパッケージを食べきるまでというのはもはやローテーションの意味があまりありません。

なので、フードローテーションするのなら割高な小パッケージを使う必要がありコスト高になります。

さらにこれらのことの注意を払って、定期的にフードをローテーションしていくのは手間にもなりますね。

これらの点はデメリットと言えるでしょう。

病気の判断に影響する?

これもフードローテーションのデメリットとしてよく言われることです。

フードで体を悪くするというのは、製品の質が良くなった最近はあまりないことです。

なので、病気の判断に困るということはあまり気にしなくていいでしょう。

ただし、フードが合わなくて吐いたりお腹がゆるくなったりというのはよくあります。

フードローテーションを1~3日の短いサイクルで行っていた場合、どのフードが合わなかったのか判断しにくいということはあるかもしれません。

その場合もローテーションするフードが食べ慣れたものなら関係ないので、他の原因を探っていくことになります。

なので、判断に困るケースというのはほとんどないと考えていいでしょう。

他には、アレルギーが起こった時にアレルゲンがどのフードに含まれているものか判断しにくくなるという話もありました。

しかし、たとえ1つのフードを食べ続けている場合でも、それだけでアレルゲンを特定できるわけではありません。

食物アレルギーが疑われたら、結局、診断するために除去食試験(あるいはリンパ球反応試験)をしてアレルゲンとなるものを特定することになります。

なので、アレルギーに関してもフードローテーションをしていたら診断しにくくなるという心配はしなくていいです。

胃腸が強くなるのか負担がかかるのかいったいどっち?

フードローテーション派は、多様なフードを食べることで消化器系が強くなるのに対し、同じフードを食べ続けるとその食品だけしか消化できないように適応してしまうといいます。

フードローテーション否定派は、フードを切り替えるたびに胃腸に負担がかかるから良くないと言っています。

どちらも言い分はもっともらしいですね。

まず、同じフードだとその食品だけしか消化できないように適応していくことについて。

確かにずっと同じものを食べていたらそれに最適となるように適応していきます。

しかしそれで固定されるわけでなく、食事内容が変わればまたそれに合うように適応していくのです。

たとえば普段、生肉ばかり食べているワンちゃんはデンプンを分解するアミラーゼはあまり分泌されなくなってしまいます。

これはまさに適応した状態ですね。

しかし、炭水化物を多く含むドライフードを食べさせるとアミラーゼの分泌は数倍にアップして、炭水化物が消化できるように再び適応します。

一定のフードを食べてそれに適応してしまっていてもそれしか食べられなくなるわけではなく、違う食品を食べればちゃんとそれに適応できるのです。

そもそも一定のドッグフードといっても使われている素材は多種多様なものが入っているもの。

一方、フードローテーションしていてもタンパク源以外は共通する食材がけっこう使われていたりもします。

同じドッグフードを食べているのとフードローテーションしているのとで、そこまで多様性に差があるとは思えないですね。

Dr.ノブ

ローテーションするフードのタンパク源を変えればその多様性の差は大きいですが、タンパク質の種類が変わったところで消化機能がそれほど変わるとも思えません。

なので、フードローテーションすると消化器が強くなるというのはちょっと根拠が弱いと言わざるをえません。

フードローテーション否定派の胃腸に負担になるという主張はどうでしょう?

新しくフードを導入する時、いきなり変えると嘔吐や下痢の原因になることがあるため、たいていの製品には切り替えるときには以前のフードと混ぜながら徐々に変えるように書かれています。

このことだけを見れば、フードを切り替えるのは胃腸に負担になると感じるのも無理はありません。

しかし、フードローテーションといっても毎回新しいフードに変えていくわけではないですよね。

ローテーションしているわけですから、食べ慣れたフードなわけです。

あらたにフードローテーションを始めた時はある程度負担になるのかもしれませんが、慣れてしまえば同じフードをずっと食べさせるのと大して差はないのではないでしょうか。

結局、消化器を強くするのも負担になるのも気にするほどのことではないと僕は思います。

追加のメリット:食生活が豊かになる

フードローテーションのメリットとしてあまり挙がっていなかったのですが、僕自信がもっとも大きなメリットと思っているのがこれです。

十分バランスの取れた安全なフードを食べてくれるのなら、それだけを与えるのがベストという考え方がベースにはあるのですが、

「毎日同じフードだとかわいそう」

「味気なくて飽きてくるんじゃないかな」

という飼い主さんの思いは無視できません。

自然では獲物のより好みはできないのだから、同じフードは味気ないとかローテーションしてあげると食生活が豊かになるなんて思いは、人が勝手に自分の思いを投影しているだけなのかもしれません。

でも、実際にペットを飼っているとそれだけとは思えないんですよね。

僕は猫を飼っていますが、フードをローテーションしています。

やはり好みがはっきりしていて、大好きなフードを食べている時は幸せそうですもん。

ペットを飼うということは飼い主さんが癒やされるためですから、心の満足はとても大切。

愛犬が幸せそうにして飼い主さんが満足なら、それは大きなメリットといえるでしょう。

まあ、なんでも美味しそうにバリバリ食べてくれる食いしん坊の子ならメリットにならないですけどね。

あと、好き嫌いが激しい子や病気でフードが限られる子では、一定のフードを食べ続けることが優先されるべきです。

結論:愛犬の性質と飼い主さんの家族が連携してルールを守れるかで判断すべき

結局、世間で言われているフードローテーションのメリットは、あまり根拠のあるものではありませんでした。

フードローテーションをすべきとか、しない方がいいとか、どっちが正しいということでもないのです。

でも最後に挙げた”食生活が豊かになる”ということは、フードローテーションを取り入れる十分な動機になりえます。

なので、したい方はすればいいのではないでしょうか。

ただし、好き嫌いを増長させてしまう可能性があるので、どんなワンちゃんでもフードローテーションが勧められるわけではなく、好き嫌いの激しい子は避けたほうがいいでしょう。

また、それほど好き嫌いがない子でもフードローテーションするうちに嗜好性が強くなってくることがあるので、飼い主さんやその家族が一致して食生活を管理できることが必要です。

あまり食べなくなってきたからといって次々とフードを変えてみたり、家族の誰かが人の食べ物やおやつをこっそりあげていたりすると、好き嫌いが激しくなってドッグフード自体を食べなくなってしまう恐れもあります。

結論として、フードローテーションはワンちゃんの食生活を豊かにしてくれるので、したい方がすればいいのですが、好き嫌いの強いワンちゃんや家族で一致して食生活を管理できない場合は避けるのが無難というのが僕の意見です。