獣医療の発達とともにワンちゃんの寿命は大幅に延びてきています。
そのかわり人間と同じように、ガン(腫瘍)になってしまうワンちゃんはとても増えています。
ワンちゃんの死亡原因でみても
疾患分類 | 死亡頭数 | 割合(%) | 罹患率(%) |
---|---|---|---|
腫瘍 | 1,114 | 13.4 | 4.0 |
循環器系の疾患 | 921 | 11.1 | 2.8 |
泌尿器系の疾患 | 667 | 8.0 | 5.4 |
消化器系の疾患 | 476 | 5.7 | 14.6 |
肝胆道系の疾患 | 453 | 5.5 | 8.6 |
[label type=”warning”]引用[/label]アニコム損害保険株式会社
と、このように腫瘍がすでにトップになっています。
がんの治療は人と同じように外科手術で取り除くのが基本で、その後、化学療法(抗がん剤)や放射線治療を行うのが理想です。
しかし、腫瘍が問題になるワンちゃんは高齢のことが多く、体力的に負担が大きいなどの理由で積極的な治療を避けることも珍しくありません。
その場合、腫瘍をそのままにできるだけ生活の質を維持するような保存療法が行われることがよくあります。
そこで重要になってくるのが、ワンちゃんに与えるドッグフードの栄養バランスなのです。
この記事では、腫瘍を抱えながらがんばっている愛犬をサポートするために満たすべき栄養バランスについて解説しています。
残された時間をできるだけ楽に過ごさせて上げるためにも、ぜひ参考にしてください。
Dr.ノブ
タロ
目次
ガンによって衰弱してしまうということは何となく知っていますよね?
でも、それなら高栄養のドッグフードを与えればいいだけのことですが、実際にはそれでは不十分です。
ガン細胞が宿主(患者本人)に与える影響には2つあります。
1つは栄養を横取りして宿主を栄養不足にしてしまうこと。
もう1つはガン細胞が宿主にとって悪い成分を排出することです。
この悪い成分によって宿主は体調が悪くなります。このことを悪液質といいます。
がん細胞の代謝は正常細胞とは異なっているため、ガン患者の食事ではガン細胞の代謝を抑えて正常細胞の栄養を十分に補い、悪液質を防ぐような栄養バランスにすることが大切です。
簡単に言うと、愛犬には十分な栄養を与えてガンには兵糧攻めをする、それがガン患者のための食事の目的です。
そのためには三大栄養素を次のように調節していくことが必要になります。
まず、炭水化物についてみてみましょう。
宿主は炭水化物だけでなく、タンパク質と脂質をエネルギー源として活用することができます。
一方、ガン細胞は炭水化物が大好きでエネルギー源のほとんどを炭水化物から得ています。
さらに、ガン細胞が利用した炭水化物は嫌気性代謝されて、最終的に大量の乳酸が生み出されます。
この乳酸がくせもの。
運動をして疲れると筋肉に乳酸がたまるというのは聞いたことがあると思いますが、乳酸は体にとっては良くないものなのです。
乳酸は体の中でブドウ糖に代謝されますが、そのためにエネルギーを消費してしまいます。
つまり、ガン細胞はエネルギー源としての炭水化物を横取りした上に、老廃物の乳酸を大量に排出して処理するためのエネルギーを消費させる、という2重に宿主のエネルギーを奪い枯渇させてしまいます。
そのためにガン患者はどんどん衰弱していってしまうというわけです。
なので、ガンを患っているワンちゃんには炭水化物を制限することがいいのです。
炭水化物を制限しても宿主はタンパク質や脂質から栄養を摂ることができますが、エネルギーを炭水化物に頼っているガン細胞は兵糧攻めで栄養不足に。
炭水化物を制限することでガン細胞の発育を抑えることが期待できます。
Dr.ノブ
上でガン細胞はそのエネルギーのほとんどを炭水化物から得ていると書きましたが、いくつかのアミノ酸もエネルギー源として利用することができます。
つまり、ガン細胞はアミノ酸からできているタンパク質も使ってしまうということ。
エネルギーが足りなくなったら宿主のタンパク質を奪ってどんどん使っちゃうわけです。
タンパク質は免疫機能や傷の修復機能、消化吸収機能など生きていくために必要な根本的な働きにとってとても大切な栄養素。
タンパク質を奪われるとこれらの機能に影響が出てきます。
たとえば、免疫機能は体に侵入してくる異物や細菌、ウイルスなどをやっつけるとても重要な働き。
しかも、ガン細胞をやっつけるのも免疫機能の仕事です。
免疫機能が衰えればガン細胞のおさえが効かなくなり、やりたい放題にされてしまいます。
また、消化機能が衰えてしまうと足りない栄養素をますます得ることができなくなり、雪だるま式に体が衰弱していくことになります。
そこで、宿主がタンパク質不足におちいらないように、ガンを患っているワンちゃんにはタンパク質を強化した高タンパクの食事が必要になります。
では最後に脂質はどうでしょう?
すべてのガン細胞が当てはまるわけではないですが、ガン細胞は脂質をうまくエネルギー源として使うことができません。
一方、宿主は脂質をエネルギー源として問題なく利用することができます。
そのため前述の通り食事の炭水化物を制限し、さらに脂質を増やすことで、ガン細胞を効果的に兵糧攻めにすることができます。
なので、ガンを患っているワンちゃんには脂質を強化した高脂肪食がいいのです。
ガン患者のワンちゃんには3大栄養素の増減以外に、以下の栄養成分を添加することでガンの抑制が期待できます。
アルギニンはアミノ酸の1種で、免疫機能や余分なアンモニアを除去する働きがあります。
アルギニンの働きにはそれ以外にも、ガン細胞の成長や転移を抑制する効果もあるのです。
また、手術による治りをよくしたり、抗ガン剤による副作用を軽減する効果もあるとされています。
腫瘍をかかえるワンちゃんには是非とも強化したい栄養成分です。
前述の通り、ガン患者には高脂肪食がのぞましいのですが、脂質の量を増やすだけでなく、その成分にも気を使う必要があるのです。
オメガ3脂肪酸という脂質の1種があるのですが、オメガ3脂肪酸の中でも青魚に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)には、抗ガン作用があることが報告されています。
しかし、同じ不飽和脂肪酸のオメガ6脂肪酸(リノール酸やγ-リノレン酸など)にはガン細胞の増殖を促進する作用が懸念されているのです。
なので、単に高脂質というだけでなく、オメガ3脂肪酸を多く含みオメガ6脂肪酸が制限された食事がより効果的といえます。
人間のガン患者にはキノコ類がいいと古くから利用されていました。
近年になって、キノコに含まれるβ-グルカンやD-フラクションなどの多糖類に抗ガン作用があることが科学的に証明されています。
これらの成分は犬の腫瘍の治療でも積極的に利用されていて、多くのサプリメントが開発されています。
腫瘍を抱えたまま保存的な治療をするワンちゃんにとって、ガン患者に特化した栄養バランスが大切であることを書いてきました。
しかし、栄養の大切さは積極的に手術や抗がん剤治療を受けているワンちゃんにとっても同じです。
手術で切除しても薬でやっつけても、ガン細胞はしぶとく体のどこかに残っている可能性があります。
小さな転移巣や目に見えない細胞レベルにおいても、ガン細胞の兵糧攻めは効果が期待できます。
なので、積極的に治療中のワンちゃんもガン患者に特化した食事を与えることが理想的なのです。
これまで述べた条件は、一般のドッグフードやプレミアムドッグフードではほとんど満たしていません。
手作りで条件を満たした食事を作ることも可能かもしれませんが、毎日バランス良く与えるのは至難の業でしょう。
動物病院で使用する療法食でも、該当する製品は多くありません。
使うとしたらヒルズのn/dくらいでしょうか。
そんな中、無添加・ヒューマングレードでガン患者に特化したプレミアムドッグフードがみらいのドッグフード[特別療法食G]です。
ガン患者に理想的な
- 炭水化物(糖質)の制限
- 高タンパク質
- 高脂肪
という三大栄養素のバランスを持ち、さらに
- アルギニン
- オメガ3脂肪酸
- β-グルカン
を添加。
今回ご紹介したガン患者の食事に必要な条件をすべて満たしています。
ガンと戦うワンちゃんにおすすめのドッグフードです。
