犬に与えてはいけない食べ物3:キシリトールガム

シュガーレスガムや虫歯予防のガムとしておなじみの甘味成分のキシリトール。

おうちで口腔ケア用にボトル入りのキシリトールガムを常備している方も多いんじゃないでしょうか?

人には問題を起こさないこのキシリトールが、ワンちゃんには猛毒となりうることを知っていますか?

普通の感覚ではキシリトールに毒性があるなんて思いもしないですよね。

まだ10年くらい前にわかった知見なので世間での認知度は低いですが、ワンちゃんでは手当が遅れるとあっという間に死んでしまうこともあるので、これを機会にしっかりと覚えておきましょう。

この記事では、ワンちゃんのキシリトール中毒の中毒量や症状について詳しく解説しています。

飼い主さんが知っているだけで愛犬の命運が分かれますので、ぜひご一読ください。

Dr.ノブ

食品として普及しているだけに恐い中毒です。
犬にとって家庭内は毒物だらけだな。

タロ

キシリトールを含む食べ物

タイトルでキシリトールガムと書きましたが、キシリトールはさまざまな製品に使用されています。

ガム以外には、キャンディーのほかオーラルケアグッズの歯みがきタブレットサプリメントなどにも広く利用されています。

中にはシュガーレスのチョコレートグミ、さらにはフルーツの缶詰ゼリーシロップなどにもよく使用されていますね。

キシリトールという語感から人工の化合物のようなイメージがありますが、イチゴやカリフラワーなどの果物や野菜に含まれる天然の甘味料です。

Dr.ノブ

口に入れる物以外に、ウエットティッシュ潤滑剤消臭剤などにも利用されているので、ワンちゃんがいたずらした時はキシリトールが入っていないかチェックしましょう。

キシリトールは犬に急激な低血糖と肝障害を起こす

キシリトール製品をワンちゃんが食べてしまうと

  • 低血糖
  • 肝障害

の2つが起こってきます。

インスリンが大量に分泌される

人でも犬でも、食事などで糖分を摂取すると、腸から吸収されてグルコース(ブドウ糖)として血液中を流れます。

つまり血糖値が上昇していきます。

すると膵臓からインスリンというホルモンが分泌されて、血液中のグルコースを肝臓や脂肪、筋肉に取り込むように作用し、血糖値を下げるように働きます。

ところが、犬がグルコースの代わりにキシリトールを摂取すると、膵臓の反応が異常に亢進して大量のインスリンが分泌されてしまうのです。

その結果、急激に血糖値が下がって低血糖になってしまいます。

キシリトールによるインスリン分泌の増加は人や猫では起こりません。

ペットではウサギもインスリン分泌の増加が起こりますが、かなりの量を食べないかぎり起こらないとされています。

犬は特別にキシリトールに過敏な反応をするのです。

肝障害がなぜ起こるのかは不明

キシリトール中毒では低血糖以外に肝障害が起こることも知られています。

ある程度の量で中毒を起こすと、低血糖に遅れて肝細胞が壊死してしまい肝障害があらわれてきます。

現在のところ、どのようにキシリトールが作用して肝障害が起こるのかについてはわかっていません。

犬のキシリトール中毒量

犬のキシリトール中毒量は目安として

  • 100mg/kg以上(体重1kgあたり100mg摂取)
  • 500mg/kgを超えると肝障害

とされています。

一般のキシリトールガムには1粒に500mg~1500mgのキシリトールが含有されているので、柴犬サイズ(10kg前後)のワンちゃんがたった1粒食べただけでも中毒が起こるということです。

ましてや、ボトルガムを開けてたくさん食べてしまっていたら…

どんなに恐ろしいか想像できますね。

甘いものが好きなワンちゃんにとってはキシリトールは非常に危険な食べ物なのです。

Dr.ノブ

人ではキシリトールはとても安全で、大量に摂取しても下痢をするくらいです。
人は肝臓で1日に15gのキシリトールを自ら合成しているくらいなので安全なのは当然のことでしょう。

ミントとの同時摂取が危ない

キシリトールガムやキャンディ、キシリトール歯みがきなどには、清涼感を出すためにミントを配合しているものが多くあります。

このミントがくせ者でキシリトール中毒を急速に進行させる可能性があるのです。

もともとキシリトールの吸収は早く、摂取後30分ほどで血中濃度がもっとも高くなるといわれていますが、ミントはキシリトールの吸収をさらに早める効果があると考えられています。

犬のキシリトール中毒の症状

キシリトール中毒が起こると低血糖により次のような症状があらわれてきます。

  • 嘔吐
  • 歩くとふらつく
  • 歩くことが難しい
  • ぐったりする
  • 意識がもうろうとする
  • けいれん発作
  • 昏睡
  • 死亡

軽い低血糖では飼い主さんが気づくこともなく、自然に回復することもあります。

しかし、低血糖が治まって1日以上経ってから肝障害が出てきて、以後、継続的に肝臓の治療が必要になるかもしれないのですぐには安心できません。

もし、キシリトールガムを食べてしまったら?

万一、愛犬がキシリトールガムやキシリトール入りの製品を食べてしまったら、どのように対処するべきでしょうか?

できるだけ動物病院へ

上に書いたようにキシリトールガムの場合は含有量が多く、1粒でも中毒症状が出てくる可能性があります。

万一、愛犬が食べてしまったらすぐに動物病院へ行きましょう。

食べてすぐなら、吐かせることで中毒を防ぐことができるかもしれません。

時間が経ってしまっている場合は、低血糖にならないようにブドウ糖を点滴して治療します。

低血糖と同時に起こりやすい低カリウム血症を未然に防ぎ、肝障害が起こらなければ救命することができるでしょう。

すぐに病院へ行けない時は食事(糖分)を与える

すぐに病院へ行けない時は、低血糖にならないように食事(糖分)をこまめに与えるようにしましょう。

注意
食べた製品の含有量を調べて、明らかに多量のキシリトールを摂取している場合は、可能な限り早く病院へ行くようにしましょう。

食べたキシリトールの量を調べて少なかった場合も、丸一日は頻回の食事を続けて愛犬の様子をよく観察してください。

おかしな様子があればすぐ病院へ!

何も症状がなかった場合も念のために後日、肝臓のチェックをしてもらいましょう。

まとめ

人には何の毒性もないキシリトールが、犬にとっては毒物となるなんて意外ですよね。

他の動物種(ウサギ、牛など)でもある程度の毒性はあっても、ここまで重度の毒性を示すのはワンちゃんだけなのです。

キシリトール製品は知らずに使っていることも多いですから、思わぬ事故を防ぐために家庭内にあるものに原料として使用されていないかを一度チェックしてみてください。

食品のキシリトールガムやキャンディーなどは、ワンちゃんの手の届くところには絶対に置かないようにしましょう。

人の食べ物は与えない!犬には危険な食品がいっぱい