最近、愛犬が太ってきているのに、「まるまるしていてちょっと可愛い」なんて笑って済ましていませんか?
肥満は単に脂肪がついて体重が増えたというだけではありません。
いろんな病気につながる怖い状態なんだと考えてください。
むしろ肥満そのものを病気ととらえてもいいくらいです。
愛犬の健康を考えて良質なドッグフードを与えていても、太らせてしまってはなんにもなりません。
そういうわけで、この記事では肥満の怖さについてご紹介します。
Dr.ノブ
タロ
目次
- 糖尿病
- 高脂血症
- 心臓病
- 関節疾患
肥満によって起こりやすくなる主な病気でもこれだけあります。
一つ一つが大変な病気ですが、肥満になるとこれらが併発することも珍しくないです。
ワンちゃんでも人と同じように糖尿病になります。
吸収した糖分(グルコース)は肝臓、筋肉、脂肪組織に取り込まれ、グリコーゲンや脂肪として蓄えられます。
このときグルコースを取り込むように働きかけるのが膵臓から分泌されるインスリンというホルモンです。
肥満するとインスリンの分泌が少なくなったりインスリンに対する組織の反応が鈍くなって、グルコースを取り込むことができなくなり糖尿病になってしまうのです。
人で生活習慣病の1つとして知られている高脂血症はワンちゃんにも起こります。
高脂血症を放っておくと心筋梗塞や脳卒中などの血管障害による病気を引き起こします。
犬種特有の高脂血症もありますが、一般に肥満のワンちゃんに起こりやすくなります。
糖尿病に併発して高血圧が起こってくると心不全になりやすくなります。
肥満していることで血液量が増えてさらに心臓の負担が大きくなります。
肥満はいろんなルートで心臓に問題を起こしてくるのです。
肥満しているワンちゃんの重い体重を支えている足には、常に過剰な負荷がかかっている状態です。
標準体重の子ならなんてことのない、ちょっとした段差や長めの運動などで足を痛めてしまうこともたびたび。
たとえ若いうちは元気に動き回れたとしても、歳とともに関節に負担がかかって関節炎などのトラブルが起こりやすくなります。
また、腰にも大きな負担がかかりますので、犬種によっては若いうちから椎間板ヘルニアを発症しやすくなります。
どれも慢性的な経過で起こるものですから、日々接しているとなかなか気づくことはできません。
明らかな症状が出てきた時点では病状が進んでいて、取り返しのつかない段階に来ていることがほとんどです。
また、太っていることで熱がこもり、熱中症を起こしやすいというリスクもあります。
Dr.ノブ
タロ
脂肪というのは摂取したエネルギーが形を変えて蓄えられているもの。
つまりは食べた分のカロリーから使ったカロリーを引いて余ったカロリーが脂肪として身についていくという単純な話。
つまり、肥満してきているということは、日々の摂取カロリーが過剰になっているということ。
単純に使う分より補給の量が多いのですから溜まる一方ということなのです。
飼い主さんに問診すると「そんなに食べさせてないんですけど」と言われることがよくあるのですが、カロリーを摂っていないのに太ることはありません。
それは飼い主さんの”そんなに食べさせていない”という基準がズレているか、家族の誰かがこっそりおやつを与えているに違いありません。
「でも、うちの子は食べていないのに太っている」という方がいるのでしたら、家族が与えているか、どこかで盗み食いをしていることを疑ってみましょう。
時に、肥満しているように見えて肥満じゃないことがあります。
甲状腺機能低下症という病気になると皮膚がブヨブヨした感じになり太っているように見えることがあります。
また、心臓病や低蛋白血症などがあるとむくんで太ったと勘違いすることもあります。
お腹が張っているのを太ったと間違うこともあります。
これらは病院へ行って治療を受ける必要があるので、普通の肥満とはちょっと違うなと思ったらかかりつけの獣医さんに診てもらいましょう。
肥満を起こす要素にはもう1つあります。
それは運動不足です。
運動をしないとカロリーの消費がないからカロリーオーバーになるということが当然あるのですが、運動不足には肥満を促進する別の側面があります。
定期的に運動をしていると筋肉のインスリンに対する反応が良くなります。
そうすると食後吸収されて血液中に入ったグルコースは、肝臓や脂肪に取り込まれるよりも筋肉に効果的に取り込まれます。
筋肉に取り込まれたグルコースは最終的に分解されるので、脂肪へと蓄積されることがないのです。
反対に運動不足だと筋肉のインスリンに対する反応が鈍くなり、グルコースは肝臓や脂肪組織へ脂肪として蓄積されてしまうのです。
すでに太ってしまったワンちゃんは、自重のために動くことがおっくうになり、さらに太ってしまうという悪循環になってしまいます。
愛犬が太ってきたなと感じたら、まずは今どのくらい太っているのかをチェックしましょう。
犬種によって体のラインが異なるので、客観的に肥満度をチェックするにはボディコンディションスコア(BCS)という指標を使います。
以下の表を参考に愛犬の肥満度をチェックしてみてください。
BCS | シルエット | 判断のポイント |
---|---|---|
1 やせすぎ |
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肋骨:脂肪がなく容易に触れる 腰部:脂肪がなく骨格が見た目にわかる 腹部:お腹のくぼみが深く、極端な砂時計のようなシルエット 体脂肪率:5%以下 |
2 やせ気味 |
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肋骨:脂肪がごく薄く、容易に触れる 腰部:脂肪がごく薄く、骨格の形がわかる 腹部:お腹がくぼんで砂時計のようなシルエット 体脂肪率:6~14% |
3 理想体重 |
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肋骨:薄く脂肪に覆われて、触ることができる 腰部:なだらかな輪郭で少し厚みがあり、薄い脂肪の下に骨格を触ることができる 腹部:お腹のくぼみは浅く、適度な腰のくびれがある 体脂肪率:15~24% |
4 太り気味 |
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肋骨:中等度の脂肪に覆われて、触ることがむずかしい 腰部:なだらかな輪郭で厚みがあり、骨格をかろうじて触ることができる 腹部:お腹や腰のくぼみがなく、上から見るとわずかに広がっている 体脂肪率:25~34% |
5 太りすぎ |
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肋骨:厚い脂肪に覆われて触ることができない 腰部:厚みのある見た目で、骨格を触ることが困難 腹部:お腹は垂れ下がり、上から見ると横に広がっている。尾の付け根にも脂肪がついている 体脂肪率:35%以上 |
この区分けの仕方だとBCS3が標準的な体型ということになります。
判断はかなり主観が入るのであまり厳密に考える必要はありません。
上から見てウエストのくびれがあればBCS3以下、ウエストとヒップの部分が同じくらいならBCS4、ウエストがヒップより出っぱっていればBCS5と考えてください。
人でもそうですが、急激なダイエットや無理なダイエットは健康によくありません。
あわてず無理せず体重を落としてあげましょう。
急激に体重を落としてしまうのは体に大きな負担がかかります。
だいたい3ヶ月で目標の体重まで落とすように計画します。
毎週、体重をチェックして、急激に落ちすぎているのならペースをゆるめて。
もし、BCS5の極度の肥満なら、もう少し時間をかけてダイエットするようにしましょう。
ダイエットの基本はカロリーを制限することです。
ただし、一般食でカロリーを制限するとフードの量が少ないため、ワンちゃんはひもじい思いをしてしまいます。
また、お腹が空きすぎて変なものを食べてしまう事故も起こりやすくなります。
さらに、カロリー以外の栄養素が不足してしまう恐れも。
なので減量には必ずダイエット用の低カロリー食を使いましょう。
筋肉にグルコースを効率的に取り込める肥満しにくい体になるように、運動量を増やしましょう。
太っている子に激しい運動は禁忌ですので、軽い運動を心がけてください。
ダイエットについてはこちらの記事も参考にしてください。

愛犬のまあるい姿をかわいいなんて暢気なことを言っていてはだめですよ。
健康のための無添加ドッグフードも太ってしまっては意味がありません。
肥満はいろんな病気の第一歩と考えて、治療をする意識でダイエットに取り組んでください。
本格的にダイエットをするためにはヒルズ社やロイヤルカナン社の減量用の療法食を食べさせてもらうのが普通です。
でも、これらの療法食には肉の副産物を使用していたり、ロイヤルカナンにいたってはBHTやBHA、没食子酸プロピル、エトキシキンなどの健康を害する可能性のある添加物が使用されています。
自然派の飼い主さんにとってはダイエットのためとはいえ、これらのフードを利用するのは躊躇するでしょう。
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メタボのワンちゃんのための療法食でありながら、次のような特徴を備えています。
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