肥満の原因はフードの与えすぎ!愛犬の寿命を縮めるので注意しましょう

飼い主さんからの相談や診察時に見つかる問題点でもっとも多いのが、太りすぎ、つまり肥満の問題です。

まるまるとしたワンちゃんは見た目は飼い主さん的には可愛くていいかもしれませんが、ワンちゃんの健康面を考えたら紛れもなくNGです。

愛犬の健康と長生きを願うのなら肥満対策は必須。

この記事では肥満の原因と健康に及ぼす影響、ダイエットの方法について解説しますので、愛犬の肥満予防に役立ててください。

Dr.ノブ

TVでは太り過ぎのペットを「かわいい」と好意的に紹介していますが惑わされてはだめですよ。
ぼくらは自らダイエットできないから肥満するしないは飼い主さん次第だよ。

タロ

肥満の原因の多くはカロリーオーバー

肥満のワンちゃんの飼い主さんに食事の状況を聞くと口をそろえたように

「そんなに食べていないんですけどね…」

とおっしゃいます。

しかし肥満で付く皮下脂肪は、摂取したカロリーから消費したカロリーを引いて余ったカロリーが脂肪の形で蓄えられたもの。

単純に消費する以上のカロリーを与えているから太ってしまうのです。

それではなぜ少ししか食べていないのに太るのか?

それは飼い主さん自身は与えているドッグフードは少ないと思っていても、それ以上に運動不足でカロリーが消費できていないということが考えられます。

あるいは、他の家族がこっそりとおやつを与えてしまっているというのもよくあります。

どう考えても与えているドッグフードはカロリーオーバーじゃないのに太ってきている場合は、家族の行動をチェックする必要がありますね。

結論として、過剰にカロリーを摂っていないのに自然に太ってしまうということはほとんどないと言っていいでしょう。

Dr.ノブのアドバイス

ワンちゃんによって運動量や消化効率が異なるので、同じライフステージ・同じ体重であっても必要なカロリーは異なります。
必要なカロリーが少ない子に、パッケージに書いてある通りの給与量を与えていると太ってしまいます。
指示されている給与量は絶対的なものではないので、適宜、増減してあげてください。

太っているように見えて、ただの肥満じゃないことも

肥満した犬

前項で肥満の原因のほとんどはカロリーオーバーと言いました。

しかし、太ったように見える変化はカロリーオーバー以外に、内分泌系の病気が原因で起こってくることがあります。

クッシング症候群

腎臓のすぐ側にある小さな副腎という臓器の異常によって起こる病気です。

ちょくちょく遭遇する病気で珍しいものではありません。

副腎から出る副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)の分泌が過剰になってさまざまな症状をあらわします。

人間では「ムーンフェース」といって満月のように顔が丸くなる病気ですが、犬の場合には顔が丸くなることはありません。

食欲が異常に増えたり、水をたくさん飲む特徴にともなってお腹がポコンと出てきます。

このお腹をみて「最近太ったなぁ」と肥満と間違える飼い主さんはけっこういます。

このお腹は単純に肥満によるものではなく、ステロイドの影響で腹筋が衰えてしまうことで起こるものです。

甲状腺機能低下症

ノドにある甲状腺から出るホルモンが少なくなって起こります。

中高年のワンちゃんにはわりと起こりやすい病気です。

甲状腺ホルモンは代謝を司るホルモンなので、不足することで不活発になり消費カロリーが低下して太りやすくなります。

悲壮感のある顔つきになるのが特徴で、他に脱毛や皮膚炎などもよく見られる症状です。

肥満も普通のものとは違い”ブヨッ”とした感じで、病気が進むと冷たくむくんだような状態になります(粘液水腫)。

ライフステージごとの太りやすいポイント

いろいろなライフステージの犬

ライフステージによって肥満の特徴や太りやすいポイントが異なります。

離乳期・成長期

非常にたくさんの栄養が必要な時期なので、太ってしまう心配はあまりありません。

しかし、可愛いあまりに甘やかしてドッグフードを与えすぎたり、おやつをたくさん与えたりして肥満させてしまうことがあります。

この時期に太らしてしまうと厄介なことに、脂肪を貯める脂肪細胞の数が増加してしまいます。

いったん増えてしまった脂肪細胞は成犬になってもそのままなので、体質的に太りやすくなってしまうのです。

Dr.ノブのアドバイス

活発な子にはドッグフードの給与量を若干増やしてやる必要がありますが、中には際限なく欲しがる子犬もいるので極端に増やさないようにしましょう。
脂肪のつき具合や体重を考慮して加減してください。

成犬期(維持期)

成犬期になってしばらくすると必要なカロリーは減ってきます。

運動量や筋肉量が落ちているのに同じ量を与えているとカロリーオーバーになってしまいます。

同じ成犬期でも若い時期とシニア期の直前ではカロリー消費量は20%くらい減ってしまうといわれているので、適宜調節してあげる必要があります。

また避妊・去勢手術を受けた後は明らかに太りやすくなるので、さらに積極的な体重管理が必要になります。

犬は去勢・避妊をすると太りやすくなる!予防するための対策は?

シニア期

シニア期に入ると活動性の低下により太りやすくなります。

ドッグフードを減らすかシニア期用のフードに切り替えるなどして、摂取カロリーをおさえないといけません。

すでに肥満していると、ワンちゃん自身が動くことにさらに億劫になり、ますます運動しなくなって肥満が進むという悪循環になってしまいます。

歳をとったらシニアフードに変えないとダメなの?【小型犬7歳以上・大型犬5歳以上】

室内飼いだと太りやすい

室内犬

昔は室内で飼うワンちゃんというと小型犬ばかりでした。

小型犬で活発な子の場合は、あまり散歩に行かなくても室内を走り回っていることで十分カロリーが消費されます。

近年は中型犬や大型犬でも室内飼育が増えていて、しかも外をあまり好まず散歩に行きたがらない子がけっこういます。

このような室内で飼われている中・大型のワンちゃんでは圧倒的に運動が足りません。

さらにいつも家族の側にいることで間食をする機会が増えるという面も。

そのため室内で飼われている中・大型のワンちゃんには太り気味の子が非常に多くみられます。

肥満度のチェック方法

同じ犬種でも個体によって体格に大きな差があるので、ワンちゃんの肥満度を体重だけで判断することはできません。

家庭でワンちゃんの肥満度の見極めるには、目視と実際に触った感覚で判断するボディコンディションスコア(BCS)を利用します。

5段階で以下の表のように分類して判定します。

BCS シルエット 判断のポイント
 1 やせすぎ  BCS1 肋骨:脂肪がなく容易に触れる
腰部:脂肪がなく骨格が見た目にわかる
腹部:お腹のくぼみが深く、極端な砂時計のようなシルエット
体脂肪率:5%以下
 2 やせ気味  BCS2 肋骨:脂肪がごく薄く、容易に触れる
腰部:脂肪がごく薄く、骨格の形がわかる
腹部:お腹がくぼんで砂時計のようなシルエット
体脂肪率:6~14%
 3 理想体重  BCS3 肋骨:薄く脂肪に覆われて、触ることができる
腰部:なだらかな輪郭で少し厚みがあり、薄い脂肪の下に骨格を触ることができる
腹部:お腹のくぼみは浅く、適度な腰のくびれがある
体脂肪率:15~24%
 4 太り気味  BCS4 肋骨:中等度の脂肪に覆われて、触ることがむずかしい
腰部:なだらかな輪郭で厚みがあり、骨格をかろうじて触ることができる
腹部:お腹や腰のくぼみがなく、上から見るとわずかに広がっている
体脂肪率:25~34%
 5 太りすぎ  BCS5 肋骨:厚い脂肪に覆われて触ることができない
腰部:厚みのある見た目で、骨格を触ることが困難
腹部:お腹は垂れ下がり、上から見ると横に広がっている。尾の付け根にも脂肪がついている
体脂肪率:35%以上

肥満は病気と考えて治すという意識で取り組む

太っている愛犬を見て、「まるまるしていて可愛い」と深刻に考えていない飼い主さんが多くいます。

しかし、肥満は単に脂肪がついているというだけではなく、いろいろな病気へとつながっていくものです。

人で肥満や高脂血症などの生活習慣病が動脈硬化から脳卒中や心臓病になることから”死の四重奏”と呼ばれているのと同じように、ワンちゃんだって肥満はさまざまな重大な病気へとつながる優先チケットなのです。

肥満そのものを病気と考えて、治療が必要であるという姿勢で取り組むべきものです。

肥満から起こりやすい病気には以下のようなものがあります。

糖尿病

ワンちゃんにも人間と同じように糖尿病になります。

太っていることで、血糖を下げる働きをする膵臓から分泌されるインスリンが十分出なくなったり、インスリンがうまく働かなくなって高血糖になってしまいます。

たくさん食べるのに痩せてきたり、水をたくさん飲んでたくさんのオシッコをするという症状がみられたら要注意。

治療のために多くのケースで生涯に渡ってインスリン注射が必要になります。

心臓病

心臓が元のサイズのまま体だけが肥満で大きくなると、そこに血液を送り出す心臓の仕事が増えてしまいます。

常に負荷がかかることで心臓が肥大し、心不全になっていきます。

脂肪肝

肝臓での脂肪の合成が亢進して、体に脂肪が蓄積していき肥満になってしまいますが、それが過ぎると肝臓自体に脂肪がたまって脂肪肝になってしまいます。

脂肪がたまることで本来の代謝ができなくなり肝機能が低下してしまいます。

骨・関節疾患

肥満で体重が増えることで骨や関節には常に過剰な負荷がかかってしまいます。

若いうちは何とか適応していても、加齢にともなって骨の変形や関節炎などが起こってきます。

がん

実験動物レベルでは過剰な栄養は”がん”になりやすくなることが知られています。

がんの中でも大腸がん、乳がん、子宮がんは肥満との関連性が疑われています。

皮膚病

肥満になると腋(わき)や内股など擦れる部分や、陰部や肛門周囲などヒダになったり隠れたりする部分に皮膚炎を起こしやすくなります。

肥満そのものが皮膚のバリア機能を低下させるので、その他の部分でも皮膚炎は起こりやすくなります。

呼吸器疾患

太ってくると人と同じように、ワンちゃんでもノドの通りが悪くなって、呼吸がしづらくなります。

パグやシーズーなど犬種によっては、息ができなくなって生命を脅かすことも。

また肥満は体に熱がこもりやすいのです。

夏は気をつけないとあっという間に熱中症になってしまいます。

イヌは体に汗をかかないので、体温を下げるために常にパンティング(ハァハァすること)をして、呼吸器に負担をかけてしまいます。

ダイエットの方法

適度な運動

カロリーを消費するために適度な運動をすることが必要です。

ただし、運動で消費できるカロリーは多くはないので、運動だけでダイエットすることは困難です。

あくまでも食事制限を補助するものと考えてください。

しかも肥満の子は腰や関節に負担がかかっているので、激しい運動もできません。

散歩の時間を増やすなど、緩やかな運動を増やすように心がけてください。

食事制限

ワンちゃんのダイエットは食事制限が基本です。


食事制限なしにダイエットすることはできません。


現在はライトタイプのフードが多くあるので、まずはそういう製品を使ってみるのもいいと思います。


しかし、それでも体重が増える、あるいはすでにかなりの肥満になっているような場合は、療法食のダイエットフードが必要になるでしょう。

実際の手順

目標体重を決める

ダイエットをするにあたって、まず目標体重を決めなければなりません。

ワンちゃんの体格でBCSが3となる理想の体重を予測します。

その体重を目指してダイエットをしていきますが、急激に体重を落としていくことは体によくありません。

1週間に1~3%の範囲で徐々に体重を落としていくのがいいとされています。

間食をチェック!

ドッグフードのカロリーを減らす前に、まず間食やおやつを与えすぎていないかをチェックしましょう。

人の食べ物を与えているような場合は止めて、おやつもしつけで必要な時以外には与えないようにして量を減らしていきましょう。

時に、家族の誰かが隠れておやつを与えていて、がんばってダイエットさせているのになかなか体重が落ちないなんてこともあります。

ワンちゃんのダイエットには家族全員の協力が必要なので、話し合って意志を統一しておくことが大切です。

Dr.ノブ

家族全員の協力がないとダイエットは成功しませんよ。

食事のカロリーを減らす

与えているドッグフードのカロリーを減らすには2つの方法があります。

1つは給与量を減らすこと。

だいたい現在の肥満している体重の給与量の60~70%くらいに減らして与えます。

あまり極端に減らすとカロリー以外の栄養素が不足するので注意してください。

この方法は、お腹がすいてしまって盗み食いや拾い食いをしやすくなるので、あまりおすすめはできません。

もう1つの方法は低カロリーのドッグフードに切り替えることです。

最初からカロリーを抑えてあるので、ワンちゃんは満足した上でダイエットすることができます。

ただし市販されているライトタイプのフードは肥満予防的なもので、カロリー制限の度合いが低いため、思ったほど減量はできないかもしれません。

その場合は処方食(療法食)の減量用ドッグフードを与えましょう。

Dr.ノブのアドバイス

週に1度は体重測定をして、急激に体重が落ちすぎていないかをチェックしましょう。
またワンちゃんでもリバウンドはよく起こります。
目標体重に達しても油断せず、肥満させない意識を持ち続けてください。

まとめ

肥満はいろんな病気を誘発します。

肥満を病気ととらえて積極的にダイエットに取り組む姿勢を持ちましょう。

ただし急激なダイエットは体によくないので、計画的に行ってください。