舐めすぎ注意!舐性肉芽腫

珍しく愛犬がおとなしくしているので見てみると、前足を念入りにペロペロなめている様子。

気になってよく観察してみると足に何やらできものみたいなものが…。

「ガン!?」

と驚いて病院へ駆け込んでみると、ただの皮膚病ということがあります。

その病気の名前は舐性肉芽腫。

今回の記事では、腫瘍と見間違えることのある舐性肉芽腫について解説します。

舐性肉芽腫の原因

舐性肉芽腫の原因はその名前にあるように”舐(な)める”ことによって起こってきます。

肉芽というのは傷などを受けた時に、損傷した部分を修復するために出てくる新しい組織のこと。

応急処置のための補修材のようなもので、やがて正常な組織に置き換わって元の外観と機能を取り戻します。

このような肉芽組織が過剰に増殖してしまったのが肉芽腫という状態だと考えてもらえばいいでしょう。

舐性肉芽腫ではずっと舐め続けることによる物理的な刺激によって過剰に肉芽が形成されることで発生します。

絵や字をたくさんかいているとペンだこができますよね。

あれと同じようなものです。

舐める原因は?

上のことは肉芽腫ができる原因ですが、では、どうしてワンちゃんは肉芽腫ができるほどしつこく舐めてしまうのでしょうか?

その理由には

  • 退屈で舐めてしまう
  • アレルギーがある
  • 最初に炎症があった

のようなことが考えられます。

活発なワンちゃんにとって大人しくじっとしているのは苦手なもの。

1日のうち散歩や遊び以外の時間や留守番をさせられる時間がけっこうあります。

眠ければ寝ますが、そうでなければ余ったエネルギーのはけ口として、眼の前にある前足を舐めることを覚えクセになってしまうのです。

また、人への依存性が強い甘えん坊のワンちゃんでは、飼い主さんがいない時に寂しさを紛らわすのに舐めるということもあります。

他にも舐めるきっかけとして、アレルギーを持っていて痒みが実際にあったり、最初に別の原因による炎症があって舐め始めるということもあります。

いずれの原因にせよ、舐めることで毛が唾液で濡れたり、舐めることの物理的な刺激が気になって余計に舐めようとします。

そのうち舐めている部分に炎症が起きてますます気になり、さらに舐めるという悪循環に陥ってしまうのです。

舐性肉芽腫の症状


引用小動物の皮膚病

舐性肉芽腫では、初期には

  • 毛が抜ける
  • 皮膚が厚くなり盛り上がる
  • 赤くなる

程度ですが、ひどくなってくると表面が潰瘍を起こし、見た目に痛々しくなってきます。


引用犬と猫の皮膚病治療マニュアル

しかし、実際には見た目ほどには痛がる様子はありません。

舐性肉芽腫が最も起こりやすいのは前足の手根部です。

手根部は人間で言うと手首にあたる部分で後ろに大きく曲げることのできる関節。

この手根部の前面部分が舐性肉芽腫の1番できやすい場所です。

Dr.ノブ

この部分はワンちゃんが伏せて休んでいる時に、眼の前、口に最も近い場所にあります。
舐めやすいというのがこの部分にできやすい大きな要因です。

舐性肉芽腫の治療方法

多くの場合、細菌の2次感染が起きているので、抗生剤の内服をします。

しかも、肥厚した皮膚には薬が届きにくいので2~3ヶ月という長期間の投与が必要です。

舐めることが原因で起こってくるので、エリザベスカラーなどを装着して舐めさせない事も重要です。

また、退屈させないように環境の改善も同時に行います。

時には、抗不安薬など薬物による行動修正が適用されることもあります。

Dr.ノブ

範囲が狭く、原因も単純である割に治療がなかなか大変な皮膚病なんですよ。
飼い主さんのモチベーションが続かなくて、途中で治療を止めてしまうことが多いですね。

腫瘍と間違わないために病院で診てもらいましょう

執拗に舐める原因として骨や関節に異常があったり、もともと腫瘍ができていた、ということもありえますので、必ず病院へ行って診察を受けましょう。

幸い、舐性肉芽腫であったとしても、上に書いたように治療に時間のかかる病気です。

だいぶ良くなったからと勝手に薬を止めないように。

先生の指示通りに投薬をしてください。

予防するには

舐性肉芽腫は3歳までの若いエネルギーの余っている子に多く起こります。

また、オスはメスの2倍ほど起こりやすいと言われています。

気質としては上に書いたように、飼い主さんにかまって欲しがる甘えん坊の子、犬種では

  • ドーベルマン
  • ジャーマンシェパード
  • ゴールデンレトリバー
  • ラブラドールレトリバー

などでなりやすい傾向があるようです。

これらのワンちゃんでは、退屈させないように散歩や遊びの時間を十分に取るようしたり、なるべく1人にしないようにしたり、1人の時はフード入りのコングなどを使って舐めるという行動に気が向かないような対策を考えましょう。

舐めることから起こる悪循環をスタートさせないことが最大の予防になります。

まとめ

昔は、”動物は傷を舐めて治す”とよく言われましたが、これは明らかな誤りで迷信に過ぎません。

だいぶ修正されてきましたが、いまだに”舐めて治す”というのを信じている人は多いです。

愛犬にちょっとした傷や皮膚炎があって舐めて治ってしまったとしても、それはたまたま運がよかっただけのこと。

舐めることで元の傷よりもひどい舐性肉芽腫になってしまうこともあるということを知っておいてください。

傷や炎症は舐めさせないというのが大原則ですからね。