観葉植物をかじるのはドッグフードが足りないの?中毒を起こす観葉植物・園芸植物に注意!

家の中に観葉植物を置いている方は多いと思います。

好奇心旺盛な愛犬がその観葉植物をかじったりしていませんか?

また、散歩に行けば公園や空き地にたくさんの種類の植物が生えています。

それらの植物もかじったり食べたりしていませんか?

実はまわりに普通に存在する植物には有毒なものが多くあります。

今まで愛犬に何も起こらなかったのはただのラッキーでしかありません。

もし中毒を起こせば命を落としてしまう植物も珍しくないのです。

この記事では、観葉植物や公園の植え込みなど身の回りでよく見られる有毒植物についてまとめました。

こんな植物で中毒になる!?という現実を知っているだけで愛犬を危険から守れるはずです。ぜひ参考にしてください。

Dr.ノブ

この記事で取り上げた植物は特別なものではなく、あなたの庭や近くの公園にあたりまえのように植わっているものというのが恐いところです。
身の回りは毒物だらけじゃないか…。

タロ

植物の有毒成分

植物に含まれるどんな成分が毒性を持つのかと、その成分を持つ植物を簡単にまとめました。

アルカロイド

アルカロイドは植物に含まれる天然由来の有機化合物のことで、薬理作用を持ち医薬品などに応用されていますが、有毒な成分も多くあります。

麻薬のモルヒネやたばこのニコチンもアルカロイドの1種です。

観葉植物や園芸植物で問題になる代表的なアルカロイドには、

  • ニコチン:タバコ、ドクニンジン
  • ソラニン:じゃがいも、トマト
  • ヒガンバナアルカロイド:アマリリス、スイセン
  • コルヒチン:コルチカム、イヌサフラン
  • ベラドンナ::チョウセンアサガオ、マンドラゴラ

などがあります。

他にもモルヒネやトリカブトで知られるジテルペノイドというアルカロイドがありますが、犬の中毒にあまり関係ないので省きます。

配糖体

糖とアグリコンと呼ばれる部分からなる物質です。

配糖体を摂取すると胃で分解され、糖の部分が離れるとアグリコンが毒性を発揮します。

主な配糖体には、

  • シアン化物生成配糖体:桃、さくらんぼ、リンゴ
  • 甲状腺腫誘発性配糖体:キャベツ、ブロッコリー、カブ
  • アントラキノン配糖体:アロエ、センナ
  • プロトアネモニン:キンポウゲ、アネモネ、クリスマスローズ
  • 心臓に作用する配糖体:すずらん、キョウチクトウ
  • グラヤノトキシン:シャクナゲ、ツツジ、サツキ
  • タキシン:イチイ

などがあります。

アルコール

植物の中にはアルコールの1種の成分を持ち、毒性を有するものがあります。

主なものにドクゼリのシクトキシンがあります。

樹脂/樹脂様物質

フェノール類を中心とした植物由来の毒素で、代表的なものに大麻に含まれるテトラヒドロカンナビノールがあります。

主に犬の中毒で問題になるのは、

  • ジテルペンエステル:ポインセチア、クロトン
  • ポリアセチレン:ヘデラ、ホンコンカポック
  • タンニン:ドングリ
  • リシン:トウゴマ
  • シュウ酸塩:サトイモ、テンナンショウ

などがあります。

有毒な観葉植物の代表的なもの

では次に、具体的によくある観葉植物や園芸植物で起こる中毒でどのような症状が起こるのかをご紹介します。

すずらんは不整脈を起こし死亡することもある

すずらん

すずらんには心臓に作用する配糖体が含まれていて、特に5月以降に付ける果実にはたくさんの種子があり、この種子が強い毒性を持っています。

ただし葉や茎にも配糖体は含まれているので、種以外の部分を食べても中毒は起こります。

中毒を起こすと、

  • 吐き気、嘔吐
  • 流涎(ヨダレが止まらない)
  • 下痢

などが起こり、心臓への毒性により、

  • 徐脈
  • 不整脈(房室ブロック、心室性不整脈)
  • 最悪の場合、心停止

が見られます。

強心剤として使われるジギタリスという薬剤も植物からみつかった配糖体で、同じように心臓に作用する配糖体を持つ植物がいくつかあるのです。

中でも、すずらんは毒性が強く、活けた花の水を飲んだだけでも中毒を起こします。

他にも、庭の生け垣によく使われるキョウチクトウも心臓に作用する配糖体を含んでいるので注意しましょう。

イチイは突然死の危険

イチイ

チイは全国的に庭木や生け垣によく植えられるごく一般的な植物です。

赤い小さな実をつける木で、きっと皆さんのお家やご近所にもあるんじゃないでしょうか?

イチイにはタキシンというアルカロイドを持っており、非常に強い毒性があります。

強烈な中毒なので見つけた時には死んでいることが多く、症状を見ることはあまりないと言われています。

初期症状を見つけた場合には、

  • 震え
  • 運動失調
  • 衰弱

がみられ、急速に進行し

  • 心不全
  • 呼吸困難

からあっという間に死んでしまいます。

種を1つか2つ食べただけで犬や子供が死んでしまう可能性があります。

毒があるのは葉・茎・種子で、果肉には毒は含まれていません。

Dr.ノブ

気づいていないだけで、ワンちゃんの原因不明の急死の一部はイチイの中毒なのかもしれませんね。
身近にこんな猛毒があるなんて驚きだ。

タロ

トマトは青い実だけでなく葉や茎も食べさせない

トマト

「青いトマトは食べないほうがいい」というのは聞いたことありませんか?

トマトにはトマチンという有毒なアルカロイドを含んでいます。

トマチンはじゃがいもの芽に含まれる有毒成分として有名なソラニンの一種です。

完熟したトマトにはほとんど含まれていませんが、青いトマトにはけっこうな量が含まれています。

また、葉や茎には常に多くのトマチンが含まれています。

とはいっても大量に食べなければ死ぬことはありません。

ただし、お腹をこわす可能性があります。

なので完熟トマトを食べさせるのは問題ないですが、未完熟トマトや葉・茎はワンちゃんに食べさせないようにしましょう。

スイセンを食べると激しい嘔吐・下痢を起こす

すいせん

スイセン・ラッパスイセン・アマリリスなどのヒガンバナ科の植物にはヒガンバナアルカロイドという有毒成分が含まれています。

球根部分に多く含まれますが、葉の部分も危ないです。

人でニラと間違えて食べて中毒になったとよくニュースになっていますね。

中毒を起こすと

  • 激しい嘔吐
  • 下痢

があらわれます。

球根を植える時にワンちゃんにかじられたりしないようにしてください。

また、ワンちゃんは胃の調子が悪い時に長い草を食べる習性があるので、スイセンの葉を食べないように気をつけましょう。

コルチカムはとっても危ない

コルチカム

コルチカムは秋にピンク色の花を咲かせる植物で、園芸用として花壇によく植えられています。

コルチカムにはアルカロイドのコルヒチンという有毒成分が含まれています。

スイセンのヒガンバナアルカロイドと同じような中毒症状をあらわしますが、毒性はさらに強く、ひどいと頻脈、呼吸停止で命を落とすことも。

室内で水栽培することもある植物なので、かじられたりしないように注意しましょう。


[追記]

この記事をアップした後、人でイヌサフランを食べて亡くなったというニュースが流れました。

参考 毒草イヌサフランをジンギスカンにして食べ死亡 北海道で70代男性<br />産経新聞

イヌサフランはコルチカム(園芸用の名前)のことです。皆さん愛犬がかじらないように十分気をつけましょう。

チョウセンアサガオは頻拍や幻覚の毒性を持つ

チョウセンアサガオ

チョウセンアサガオは江戸時代に薬草として栽培されていたものが野生化したものや、園芸用として改良されたダチュラとしてよく栽培されています。

また、生け花用としても販売されています。

チョウセンアサガオの果実にはベラドンナというアルカロイドを多量に含み、たくさん入っている種子も危険です。

中毒を起こすと、

  • 粘膜の乾燥
  • 散瞳
  • 便秘
  • 発熱

などが起こり、心臓への作用として

  • 頻脈
  • 不整脈

が起こります。

神経にも異常をきたし、

  • 幻覚
  • 混乱
  • 盲目

などの症状もみられます。

実が乾燥して弾けるとたくさんの種を飛ばしますが、これが危険。

ワンちゃんが口にしないように注意してください。

モモ・さくらんぼ・りんごの種には青酸を含んでいる

さくらんぼ

「モモ・さくらんぼ・りんごで中毒?」ってビックリしてしまいますよね。

安心してください。実の部分は安全です。

問題になるのはの部分。

これらの種にはシアンを発生させる配糖体が含まれています。

シアンって何?という方も、青酸といえばわかるのではないでしょうか。

あの猛毒の青酸カリの青酸はシアンのことです。

種が危ないと言っても、1個や2個食べたくらいでは平気です。

ただし、大量に食べてしまうと中毒を起こします。

中毒になると、急激に弱り麻痺して死んでしまうという怖いもの。

リンゴや桃の種を大量に食べることは考えにくいですが、さくらんぼはパックにたくさん入って売っているので、盗み食いされないように気をつけてください。

シニア犬はキャベツ・ブロッコリーの食べ過ぎ注意

キャベツ

キャベツやブロッコリーには、甲状腺腫を誘発する配糖体が含まれています。

結果的に甲状腺機能の低下が起こってきますが、大量に食べない限り問題はありません。

ただし、シニア犬で甲状腺機能低下症になっているワンちゃんは影響があるかもしれません。

Dr.ノブ

キャベツは手作り食やドッグフードのトッピングに使われることが多いので、シニア犬には与えすぎないように注意しましょう。

万能薬のアロエも食べてはダメ

アロエ

アロエを肌に塗ると傷・やけど・かゆみ・美容にいいと言われ、万能薬としてもてはやされていますね。

しかし、アロエにはアントラキノン配糖体という成分を含んでいて、食べるとお腹をこわしてしまうことがあります。

軽い下痢程度しか起こりませんが食べさせないようにしましょう。

可憐なアネモネには刺激性がある

アネモネ

可憐な花を咲かせるアネモネは、見た目とはうらはらにプロトアネモニンという毒性のある成分を持っています。

プロトアネモニンは皮膚や粘膜に対して刺激物質となります。

刺激性が強く、かじると口の中が腫れますので注意しましょう。

他に、キンポウゲやクリスマスローズにも含まれています。

シャクナゲの中毒では徐脈・昏睡が起こることも

シャクナゲ

豪華な花を咲かせるシャクナゲやツツジ、サツキなどツツジ科の植物にはグラヤノトキシンという毒性物質を持っています。

毒性物質は葉や花の蜜に多く含まれているそうです。

中毒を起こすと

  • 嘔吐
  • 流涎

などが起こり、心臓への作用として

  • 徐脈
  • 低血圧

神経症状として

  • 虚弱
  • マヒ
  • 昏睡

などがあらわれてきます。

これらの植物の葉を食べさせないのはもちろん、海外産の蜂蜜で中毒が起こったこともあるそうなので注意してください。

ポインセチアは下痢・嘔吐を起こす

ポインセチア

観葉植物としてポピュラーなポインセチアには、ジテルペンエステルという毒性成分が含まれています。

植物を傷つけるとミルクのような樹液が出てくるのですが、この液の中に有毒成分が含まれているんですね。

ジテルペンエステルは眼、皮膚、消化器に対して刺激性があります。

眼に入ると、

  • 角膜炎
  • 結膜炎

が起こります。

皮膚につくと、

  • かゆみ
  • 赤み
  • 水腫

などが起こってきます。

食べてしまうと、

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 下痢

なども起こります。

強い毒性ではないですが症状は長く続くので、室内に飾る時には注意してください。

アイビーも下痢・嘔吐が起こります

アイビー

アイビーの名前で知られるヘデラも観葉植物としてごくありふれたものですが、ポリアセチレンという有毒成分を持っています。

非常に普及している観葉植物だけに、中毒の原因としても多いものです。

かじると、

  • 流涎
  • 嘔吐
  • 下痢

がみられるほか、皮膚に樹液がつくと

  • 水疱
  • 潰瘍
  • かゆみ

などを起こす刺激性もあります。

重症化することはまずないですが、かじらないように注意しましょう。

救命できない猛毒のトウゴマ

トウゴマ

トウゴマの種には猛毒のリシンという成分が含まれています。

リシンは冷戦時代にKGBが暗殺に使用していたといわれるほどの猛毒で、非常に危険な成分です。

解毒薬もなく、中毒を起こせばまず助かりません。

トウゴマはもともとひまし油を採るために栽培されていましたが、今は観葉植物としても栽培されています。

近くに生えていたらワンちゃんを近づけないようにしましょう。

粘膜が腫れ上がる里芋

里芋

「里芋に毒?」と思うかもしれませんが、葉にはシュウ酸塩を多く含んでいます。

シュウ酸塩は尿管結石の原因物質であり、食べ物のえぐ味の正体。

シュウ酸塩は針状の結晶でこの形がいろんな悪さをします。

里芋は芋の部分にもシュウ酸塩が含まれていて、料理の時に素手で触っているとかゆくなってくるのは、シュウ酸塩の結晶が皮膚に刺さるからなんです。

なので、生の芋や葉をかじってしまうと結晶が粘膜に刺さり、

  • 口がヒリヒリする
  • 腫れる
  • 流涎

などが起こり、喉の奥まで腫れると気道が狭くなり呼吸困難が起きることもあります。

食べる里芋だけでなく、クワズイモやカラジウムのようなサトイモ科の観葉植物にもシュウ酸塩が含まれ、同じような中毒を起こします。

室内に置かれることが多いので、ワンちゃんがかじらないように気をつけてあげてください。

まとめ

ここに挙げた有毒植物はごく一部のものです。

調べたらもっともっと数え切れないくらい出てきます。

おそらく有毒植物を全部を把握している獣医師はいないでしょうね。

今回紹介した植物も全部覚える必要はありません。

単純にいきましょう。

観葉植物や園芸植物には有毒のものが多いと考えて、かじらせないという姿勢でいけばいいのです。

犬の習性として草を食べて吐く行動をしますが、人に飼われているワンちゃんに草を食べる必要性は1ミリもありません。

草をかじらせない、食べさせないで有毒植物から愛犬を守ってください。