近年は、ライフステージ別のドッグフードは当たり前になってきました。
小型犬~大型犬のように体のサイズ別のドッグフードも普通になってきましたね。
最近はさらに進んで、犬種別のドッグフードまであるようです。
いくらなんでも細分化しすぎだと思うんですが、実際のところ犬種別のドッグフードって何が違うんでしょう?犬種専用である必要はあるのでしょうか?
この記事では、犬種専用フードの必要性について考えてみたいと思います。
Dr.ノブ
タロ
ホームセンターのペットフードコーナーに行くと、多種多様なドッグフードが並んでいます。
いろんな選択肢があるのは良いことなのですが、あまりに種類が多くて迷ってしまいますね。
いまではライフステージ別やサイズ別のフードにとどまらず、犬種別のドッグフードも充実してきています。
プードル用とかミニチュアダックス用とか表示されていると、犬種専用のドッグフードを与えないといけないのかな?と思うのも無理もありません。
現状、どれだけの犬種別フードがあるのか?市場に出ている全部のブランドを調べるのは大変なので、Amazonで手に入る犬種別のドッグフードを調べてみました。
調べてみたところ、犬種別ドッグフードを展開しているブランドは次の10ブランドありました。
- ロイヤルカナン ブリードヘルス ニュートリション(14犬種)
- マーズ プロマネージ(8犬種)
- ユニ・チャームペット ベストバランス カリカリ仕立て(6犬種)
- ユニ・チャームペット 愛犬元気 柴犬用
- イースター ウェルケア(16犬種)
- イースター 日本犬 柴犬専用
- スマック 柴犬用
- 日本ペットフード ラシーネ(6犬種)
- サンライズ ゴン太のふっくらソフト 柴犬用
- サンライズ スタイルズ(6犬種)
このうち愛犬元気、日本犬柴犬用、スマック柴犬用、ゴン太のふっくらソフト柴犬用は犬種が柴犬だけしかありません。
柴犬はやはり飼育数が多いからでしょうか?
サンライズのスタイルズのみ柴犬用がありませんが、ほとんどのブランドは柴犬用に力を入れているようです。
では、犬種別ドッグフードは何がちがうのか?
一般のドッグフードと何が違うから犬種専用としているのかを、例として商品数の一番多い柴犬用でいくつか比べてみましょう。
各商品のキャッチフレーズはどうなっているでしょう?
- 健康な皮膚と被毛を維持するためにEPA・DHA、ルリチシャ油などの栄養素を配合
- 健康的な消化の維持をサポートために消化性の非常に高いタンパク質を配合
- 理想的な体重を維持するために適切なカロリー含有量に調整し、柴犬の理想的な体重を維持
- デリケートな皮膚の健康維持するためにオメガ-3脂肪酸(DHA・EPA)を含む良質な魚を使用
- 理想体重の維持をサポートするために脂肪を控えめに設計
- 低アレルゲン性主原料(消化吸収がよく、アレルゲンとなる可能性が低い高品質な鶏肉、米を厳選)
- 皮膚の健康維持のために、ビタミンA・B群・C・Eを配合した専用設計のフード
- 柴犬に合わせた粒サイズ設計
- 皮膚の健康維持にハーブ(カモミール)、DHA・EPA配合
- 毛づやの健康維持にリノール酸・リノレン酸を配合しビタミン・ミネラルを強化
- 皮膚・被毛の健康維持に配慮し、カモミール、DHA・EPA配合
- 脳の健康維持に配慮し、DHA・EPA、いりこ配合
- お腹の健康維持に配慮し、乳酸菌、ビール酵母、オリゴ糖配合
- 目の健康維持に配慮し、DHA・EPA、タウリン配合
各社で多少の違いはありますが、柴犬では皮膚や被毛の健康に配慮した栄養素の配合と消化が良いというのが売りのようです。
次に、近年もっとも人気の高いトイプードルの専用ドッグフードを比べてみましょう。
- プードル独特の柔らかい被毛の健康を維持するためにルリチシャ油を配合し、健康な皮膚を維持するためにオメガ3系不飽和脂肪酸(EPA・DHA)を配合
- 歯の健康を維持するためにポリリン酸ナトリウムを配合
- 健康的な筋肉の維持のために理想的な量のタンパク質を配合
- デリケートな皮膚と耳の健康を維持するためにデリケートな皮膚と耳の健康を維持
- 繊細な被毛の健康をサポートするために天然の魚から抽出されたマリンコラーゲンを配合
- 腸内環境の健康を維持するためにビートパルプとフラクトオリゴ糖を適切にブレンドし配合
- ひざ・関節、お腹の健康維持のために、グルコサミン・コンドロイチン、オリゴ糖を配合
- トイ・プードルに合わせた粒サイズ設計
- 皮膚・被毛の健康維持に配慮し、カモミール、DHA・EPA配合
- 関節の健康維持に配慮し、グルコサミン、コンドロイチン、コラーゲン配合
- 免疫の維持に配慮し、ヌクレオチド、DHA・EPA配合
- お腹の健康維持に配慮し、乳酸菌、ビール酵母、オリゴ糖配合
- ひざ・関節の健康維持にN-アセチルグルコサミン、コンドロイチンを配合
- おなかの健康維持にオリゴ糖を配合
- ラーゲンを配合し、トイ・プードルらしいつややかな巻毛をサポート
- 室内暮らしに配慮して、脂肪分を調整
トイ・プードル専用フードでも柴犬と同様に皮膚や被毛に配慮した栄養素が配合されているのが目立ちます。
あとは関節に配慮してグルコサミンやコンドロイチンの配合も多いですね。
お腹に配慮しているのも柴犬と共通しています。
上に挙げた特徴をみると、それほど特別な栄養素が配合されているわけではないようです。
DHAやEPAは皮膚や関節の健康にいいと、一般の良質なドッグフードでは配合されているものが多いです。


グルコサミンやコンドロイチンが配合されているのも珍しくありませんし、シニア用のドッグフードではたいてい入っています。
一部、独特の物質が入っているものもありますが、けっしてその犬種に必要性が高いものではありません。
たとえばロイヤルカナンのプードル用に添加されているポリリン酸ナトリウム。
歯にステインをつきにくくしたり、歯質を強くする効果があると言われますが、歯ブラシなどをせずにこれだけで歯のトラブルが防げるわけではありませんし、歯ブラシをしっかりしていれば必要でもありません。
結局、どれも他のフードでも普通に入っていたりしますし、入っていないものでも必須のものが配合されているわけでもないのです。
犬種専用フードを与えることは悪くはないですが、与える必然性はないといったところですね。
もし、飼い主さんができるだけ無添加のドッグフードを与えたいとか、ヒューマングレードの原料から作られたドッグフードを与えたいという気持ちがあるのなら、犬種専用ドッグフードはおすすめできません。
現在のところ、犬種専用フードを販売しているのは大手メーカーばかりです。
”着色料を不使用”のように、ある程度添加物を削減した製品はありますが、人工添加物不使用や無添加、ヒューマングレード原料使用のような、安全性にこだわった製品は皆無です。
添加物や原料にこだわるのなら、犬種専用フードは選択肢からはずしましょう。
犬種別ドッグフードというと特別感があって、犬種別のほうが愛犬にとってベターなドッグフードのような印象を持ってしまいますが、実際にはそれほど特別な栄養素が配合されているわけでも、製法が特殊なわけでもありません。
一般の人気フードを含めてどれにしようか考えている飼い主さんには選択肢の1つになるかもしれませんが、犬種専用だからとわざわざ選ぶ必然性はないでしょう。
一方、安全性を重視して添加物や原料にこだわる飼い主さんでは、選択肢からはずした方がいいですね。