ペットショップで犬を購入したことがある方はわかると思いますが、ただ生体を販売しているだけでなく、その後の飼育に関していろいろと指導してくれます。
その延長上で、子犬を飼育していく上で必要なグッズやドッグフードと一緒に、栄養補給用のカルシウム剤や犬用ミルクなども買わされるはめになることが多いですね。
もちろん向こうも商売なので、買うのが当たり前のようについてくるのですが、実際のところこれらのカルシウム剤やミルクは与えるべきものなのでしょうか?この記事ではその疑問にお答えします。
Dr.ノブ
タロ
目次
子犬は急激に成長するために成犬に比べてたくさんの栄養を摂らなければなりません。
成犬と同じような食事の与え方をしていれば、すぐに栄養不足に陥ってしまいます。
犬は生まれてから4~5ヶ月までは驚くほど急激な成長をみせます。
生後2ヶ月で成犬時の20%、3ヶ月で30%、4ヶ月で50%もの体重にまで成長するのです。
その後、成長のスピードはゆるやかになり、生後半年ぐらいでほぼ成犬に近い大きさにまで達します。
しかし体が成長しきるにはさらに半年くらいの時間が必要です。
なので犬の成長期は約1年くらいあると考ておけばいいでしょう。
※大型犬では成長が全体的に遅くなり成長し切るのに2年くらいかかります。
これだけの成長をまかなうには、非常にたくさんの栄養が必要になります。
小型犬と大型犬では違ってきますが、例として成犬時に10Kgくらいになる犬(柴犬くらい)の場合を挙げると、1日あたりの必要なカロリー数は
- 生後3ヶ月(3kgくらい): 625kcal
- 生後4ヶ月(5kgくらい): 669kcal
- 成犬(10kg) : 742kcal
となります。
このように、たった3kgしかない子犬と10kgの成犬で必要なカロリー数があまり変わらないという驚きの結果に。
さらにタンパク質(とアミノ酸)や脂肪、ミネラルなど栄養素ごとにみてみると、ほとんどの栄養素が成犬よりも多く必要になります。
そのため子犬のうちは、成長に支障が出ないように十分な栄養を補給してあげなければいけません。

まだ体の小さな子犬が多量の栄養を取り入れるには、栄養価の高いドッグフードが必要です。
成犬用ドッグフードでは大量のフードを食べないと栄養が足りず、食べすぎて吐いてしまったり、便がゆるくなる原因になります。
今は「幼犬期」「成長期」「グロース」という表示で栄養が強化された子犬用フードが売られていますので、これらを利用するといいでしょう。
ただし、成長期のドッグフードを利用する場合でも1回の量が多くなりすぎないように、食事回数は1日に3~4回に分けてあげてください。
小型犬であればもう少し回数を増やしてもいいくらいです。

では、本題のカルシウム剤や犬用ミルクを与えたほうがいいのか?という疑問です。
前述のように成長期は非常にたくさんの栄養が必要なので、ドッグフードだけでは心もとなく感じるかもしれません。
今、手元にドッグフードがあればパッケージの裏に印刷されている原料表示を見てください。
※この例は成犬用総合栄養食です
一番上の「成犬用総合栄養食」という部分が、成長期用フードであれば「成長期用(あるいは幼犬用)総合栄養食」と記載されているはずです。
この表示はペットフード安全法という法律で義務付けられたものです。
総合栄養食の意味するのは、このフードだけを食べていれば必要な栄養は全部まかなえるということ。
何を持って総合栄養食とするかはメーカーの裁量なのですが、ペットフードの栄養基準として米国飼料検査官協会(AAFCO)のガイドラインがあり、世界的に多くのペットフードメーカーがこの基準をクリアするようにドッグフードを作っています。
日本で販売されているドッグフードのほとんどがAAFCOのガイドラインをクリアしています。
AAFCOのガイドラインには成長期用もあり、子犬用ドッグフードでは成長期用のガイドラインに沿ったものが作られているのです。
なので、子犬用フードであればそれだけを与えていれば栄養的に何も不足することはないのです。
タロ

バランスを考えてしっかり作られた子犬用フードへ、あらたにカルシウム剤やミルクを混ぜるとどうなるでしょう。
せっかく吟味して作られた栄養バランスが崩れてしまいます。
後から何かを混ぜるというのはおすすめできません。
特に、カルシウムは成長期にたくさん必要ですが、与えすぎもいけません。
過剰に摂取すると骨や軟骨の成長に異常が出るので注意が必要です。
Dr.ノブ
でも好き嫌いが出ないように注意してください。

信頼のできるメーカーの成長期用ドッグフードを与えているのなら、他に何も与える必要はありません。
ワンちゃんを買った時に付いてきたからといって、カルシウム剤やミルクは必ず与えないといけないものではないのです。
カルシウムのように与えすぎが害になることもあるので注意してください。