子犬の時にいろいろ食べさせるのはアレルギーと嗜好性の2つの意味でよくない

新しく子犬を家族に迎えると、あまりの可愛さに家族全員がメロメロになってしまいますね。

いるだけで皆んなが穏やかになり、それまで以上に和気あいあいになることうけあいです。

でも可愛がるのはいいのですが、食べ物に関してはきびしくいかないと愛犬の健康のためによくならないことがあります。

人間の感覚で考えると、ドライフードだけを食べさせるのは味気なくてかわいそうに思えますが、あれこれ食べさせてしまうと、アレルギーと嗜好性の面で愛犬に大きなデメリットになるかもしれません。

Dr.ノブ

もともと食の細い子では偏食になりやすいので要注意です。
ぼくはそれは絶対ないや。何でも食べるぞ。

タロ

子犬の頃に食べたものがアレルギー体質を獲得させる

10年くらい前までは、食物アレルギーは早い犬で生後6ヶ月くらいから発症し、遅い犬ではシニア期になってから発症することもあると考えられていました。

一方、環境アレルゲン(花粉やハウスダストなど)で起こるアトピーの場合、早くても生後1年くらい、遅くても6~7歳までに発症します。

なので、あまりに若い時期やシニアになってからアレルギー症状があらわれた場合は食物アレルギーの可能性が高いと判断されていたのです。

ところが最近の食物アレルギーの考え方は少し変わってきています。

シニア期に発症の食物アレルギーも子犬の頃に始まっていた

子犬の時点ですでにアレルギー

離乳期前後の子犬は腸の粘膜が未熟なため、アレルゲンとなるタンパク質が簡単に侵入できてしまいます。

この時期にアレルゲンとなりやすい食べ物を食べると、その食べ物に対するアレルギー体質を獲得しやすいのです。

ただし、アレルギー体質を獲得しても症状が軽いと、飼い主さんが気づいていないことが往々にしてあります。

食物アレルギーの場合、体の痒み以外に消化器症状が出ることも珍しくなく、軟便として症状があらわれていることもあります。

症状が軽ければ、ただ便の回数が多い(1日3回以上)だけという場合も。

一般に、アレルギー=痒みという思い込みが強いですから、便に多少の異常があってもアレルギーの症状が出ているとは夢にも思わないんですね。

つまり、昔はシニア期になって発症することもあると考えられていたのは、食物アレルギーは非常に若い時点で始まっていたのを見逃していて、気づいたのがシニア期というだけに過ぎないということなのです。

子犬の時期にいろいろと食べさせることはアレルゲンに触れる機会を増やす

食物アレルギーを獲得する時期に、あれこれ食べさせてしまうとどうなるでしょう?

離乳期前後に食べたものすべてがアレルゲンとなるわけではなく、アレルギーになりにくい食材であれば問題はほとんど起こりません。

ひとこと!アレルギー体質の強い犬では、本来低アレルゲンフードに使われるような食材に対してもアレルギーを起こす場合があります。

しかし、与えるフードの種類が増えれば増えるほど、愛犬にとってアレルゲンとなる食材に出会う確率は高くなります。

ゆえに、子犬の時期にいろんなものを食べさせるのは食物アレルギー発症のリスクからおすすめできないのです。

Dr.ノブ

食物アレルギーは離乳期前後に獲得するのが基本ですが、成犬になってから獲得することもありえます。
上で書いたように、腸の粘膜をアレルゲンとなるタンパク質がすり抜けることで感作されるので、消化器に問題を抱えて正常な腸粘膜でないのなら、成犬でも同じようなことは起こり得るでしょう。

味を覚えるほど好き嫌いが強くなる

犬の味覚は人間ほど繊細なものではありませんが、猫ではあまり感じないとされている甘味も犬はちゃんと感じることができるようです。

褒められたものではありませんが、果物やアイスクリームなど甘いものが大好物のワンちゃんはよくいますね。

でも、本来は最初に言ったように犬はそれほど味にうるさいわけではありません。

今、好き嫌いの激しいワンちゃんも、最初はどの子もドライフードを普通にバリバリ食べていたはずです。

味気なさそうに見えるドライフードも、良質な製品であれば素材の風味や旨味があるはずですからね。

でも、いろんな銘柄のドライフード、おやつやウェットフードなどさまざまな味に触れていくことで、その子の好みのフードや味が出てきます。

それがエスカレートすると、好きな食べ物以外は食べなくなってしまいます。

いわゆる”舌が肥える”という状態。

人でも美味しいものばかり食べているとぜいたくになってしまいますから理解できると思います。

ただ、ワンちゃんは「バランスよく食べないと健康に悪い」なんて理性的に考えることができないですから、極端に偏食が進んでしまいやすいのです。

なので、いろいろ食べさせることは好き嫌いを強くしてしまう意味でもおすすめできません。

Dr.ノブ

中には生まれつき好きなものしか食べないワンちゃんがいます。
これは好き嫌いというよりも、食が細く食べ物への興味が薄いため、よほど興味を惹かれる匂いや味のものしか食べないのでしょう。
こういう性質のワンちゃんにいろいろ与えると極端に偏った食べ物しか食べなくなります。
もっとも注意すべきタイプです。

ドライフード以外もある程度食べさせておいたほうがいいことも

上でいろいろ食べさせない方がいいと書いておきながら、すぐに、ある程度はドライフード以外も食べさせろなんて一体どっちなんだ!と思ってしまいますよね。

普段ドライフードしか食べていない大半のワンちゃんは目先を変えて美味しそうなウェットフードを与えると飛びついて食べます。

でも、小さい頃からドッグフードしか食べたことのないワンちゃんでは、ウェットフードのような柔らかい食べ物を食べようとしないことも珍しくないのです。

この理由は動物の傾向として、幼い頃に食べていたものしか食べようとしないという性質があります。

猫でその傾向は強いのですが、犬でも飼い主さんからよく耳にする話です。

特に、ストレスのかかっているときや体調の悪い時には顕著になります。

なので、原則ドライフードを与えていくことに変わりはありませんが、経験としてウェットフードやおやつを与えて慣らしておく必要もあるのかもしれません。

ただし、好き嫌いを助長する可能性もある諸刃の剣なので、きっちり管理した上で与えてください。

子犬の食生活で気をつけたい

以上のように、子犬の時期にいろんな食べ物を食べさせることは、

  • アレルギーになるリスク
  • 好き嫌いが激しくなるリスク

の2つの意味で好ましくありません。

あれこれとフードを与えないことに加えて、できるだけこれらのリスクを回避するために、次の2つのことを心がけましょう。

低アレルゲンのフードがベター

1つは、離乳期前後のアレルギーを獲得しやすい時期に、アレルゲンになりやすい原材料を使ったフードは避けるべきです。

中でも、アレルゲンとしてリスクの高い小麦グルテンはこの時期はできるだけ与えたくないですね。

ラムやダックなどのアレルゲンになりにくい動物を使った食物アレルギー用フードはいいと思いますが、子犬からそこまでする必要はないと思います。発育期に使えるフードもほぼないですしね。

最低限、グルテンフリーのフードを与えておけばいいでしょう。

節度を持ってウェット・おやつの食感にも慣れさせる

現実的に、ドライフードのみでおやつやウェットフードを一切与えないというのは、なかなか難しいですね。

それらは飼い主さんと愛犬とのコミュニケーションを深めるためや、しつけのご褒美として重要なツールとなるメリットがあります。

そこで、2つめに心がけてほしいこととして、節度を持っておやつやウェットフードを利用するということです。

上で書いたように、味を覚えると舌が肥えて好き嫌いが激しくなってしまうことがあります。

ワンちゃんからしたら、これはご飯、これはおやつという区別は難しいので、美味しいものを「もっともっと」と欲しがってしまうのです。

なので、おやつやウェットフードを与えるのはかまわないのですが、けっして予定以上に与えない、欲しがっても心を鬼にして与えない、断固とした態度が必要です。

かわいそうだからとなし崩し的に次々与えていては、どんどん好き嫌いがはっきりしていきますから注意しましょう。

もう1つ気をつけないといけないのはウェットフードやおやつも与える場合、それらの中に小麦が使われていては主食のドライフードを低アレルゲンフードにしている意味がありません。

おやつやウェットフードを与えるのなら、必ず小麦の入っていない製品を与えましょう。

まとめ

今回の記事をまとめますと、子犬の時期にいろんな食べさせてしまうと、

  • アレルギーのリスクが高まる
  • 好き嫌いでフードを食べなくなる

という問題が出やすくなります。

なるべくドライフードだけを食べさせるようにして、かつ与えるフードの成分はなるべく低アレルゲン(グルテンフリー)のもを使うようにし、おやつなどを使う場合は必要最小限にとどめるように努力しましょう。