新しいドッグフードを食べさせたらお腹をこわしたということありませんか?
せっかく愛犬のために飼ってきた良いフードを買ってきたのに、がっかりなんてことが結構あるんですよね。
ワンちゃんはなかなかにデリケートな動物で食事の変化に対応できないことがあります。
いずれは新しい食事に適応してお腹もこわさなくなるのが普通ですが、それ以前にメンタル面で新しいフードをまったく食べてくれなくなるケースがあります。
いつものフードよりおいしいはずで最初は食べたのに、なぜか頑として受け付けなくなってしまうのです。
この記事では、メンタル面で新しいフードを拒絶する原因とそれを回避する方法についてまとめてみました。
Dr.ノブ
タロ
新しいフードに切り替えた時、体が適応できないうちは便がゆるくなったりするのは珍しいことではありません。
下痢まではいかなくて、お腹がキュルキュル鳴ったり便がいつもより柔らかい程度かもしれません。
自分に置き換えて考えたら、このような状態ってお腹が痛かったり腸の具合が悪いことを自覚できますよね。
ワンちゃんはしゃべることができませんから自覚症状を知ることはできませんが、これらの症状は感じているのは間違いありません。
つまりワンちゃん自身、このときに不快感を感じているわけです。
そして、新しいフードを食べたこととこの不快感が結びついてしまうと、そのフードを2度と食べなくなるということが起こります。
一種の条件反射が成立してしまうのです。
条件反射というとパブロフの犬が有名ですね。
フードを与える時に一定の音を聞かせることを続けることで、音を聞いただけでよだれを垂らすようになるという実験です。
本来、まったく関係のない音と唾液の分泌が関連付けられてしまいます。
新しいフードを2度と食べてくれなくなるのも、同じ条件づけによって起こるといわれているのです。
これを味覚嫌悪条件反射といいます。
パブロフの犬の条件反射とちょっと違うのは、音の刺激→唾液分泌のように刺激と反射が同時ではなく、時間差で起こること。
フードを食べて数時間経ってから消化器症状が起きても条件づけが成立するといわれています。
Dr.ノブ
では、味覚嫌悪条件反射を起こさないようにするためには、新しいフードに切り替える時にどのようなことに注意すればいいでしょう?
いつも一定のフードを食べているワンちゃんの消化機能は、そのフードの消化に最適化されているため、組成の異なるフードにいきなり切り替えると適応できずにお腹の調子が悪くなることがあります。
急に切り替えても平気なお腹の強い子も多いですが、新しいフードへの切り替えは徐々に行うのが無難です。
最初は元のフードに4分の1ほど混ぜて1週間ぐらいかけて徐々に比率を上げて切り替えましょう。

また、味覚嫌悪条件反射は香りの強いフードで成立しやすいとされています。
高品質のプレミアムドッグフードでは高タンパクで香りの強いものが多いので、より慎重に切り替えましょう。
愛犬の調子が悪そうな時に新しいフードに切り替えると、普段以上にお腹のトラブルが出やすくなります。
病気の初期であれば、これからどんどん調子が悪くなる可能性もあり、場合によっては消化器症状以外の症状に対して味覚嫌悪条件反射が成立してしまうかもしれません。
徐々に切り替えてもアレルギーなどで新しいフードが合わないことがあります。
少量を混ぜても繰り返しお腹の調子が悪くなるのなら、もったいないですがその新しいフードは諦めたほうがいいでしょう。
無理に混ぜ続けていると、今度は元のフードに対して味覚嫌悪条件反射が起こってしまうかもしれません。
このようなことは薬を飲ませる必要がある時にいつものフードに混ぜたりしても起こりえます。
Dr.ノブ
ワンちゃんは言葉で意思疎通ができないぶん、出来事同士を関連付けてしまうことが多くあります。
散歩中に怖い目にあったら、以後同じ場所を通るのを嫌がったり、怪我をして痛い思いをしたら治ってからもその部位を触るの嫌がったり、吠えたら飼い主さんが何事かと見に来てくれたので以後吠えぐせがついたり。
一度思い込んだら同じことが起こらなくてもずっと反応します。
もし同じことが再び起こったらその関連付けはより強化されます。
良くない反応の場合は同じ出来事を再現しないようにしなければなりません。
人間が気づける関連付けなら良いのですが、何と関連付けているかわからない場合もあるのがむずかしいところです
味覚嫌悪条件反射もその1つでしょう。
Dr.ノブ
人間がお腹をこわしたら「昼に食べたものが悪かったかな」と考えるのは普通ですが、まさかワンちゃんでも同じようなことがあるなんて予想もしなかったのではないですか?
ワンちゃんは意外にデリケートで思ったより賢いんですよ。
これからは新しいフードに切り替える時は慎重に行かないといけませんね。