犬は野生では肉食だったのだから肉を沢山使ったフードがベスト?

群雄割拠のプレミアムドッグフード業界は、自社のブランドを少しでも差別化しようといろいろな特徴をアピールします。

よくあるのは無添加やヒューマングレードの製品であるというアピールポイントですが、最近はそのようなフードも増えてきたので個性的とまでは言えません。

それならば質プラス量で勝負!

というんでしょうか、「肉材料を50%以上使用」とか「肉材料を70%使用」というブランドもちらほら。

実際のところワンちゃんにとって肉をたくさん使ったフードがベストなのか考えてみたいと思います。

Dr.ノブ

祖先のオオカミ自体、完全な肉食というわけではないようですよ。
もしかしてご先祖さまも雑食?

タロ

犬は本当に肉食だった?

肉を50%以上使用したドッグフードはけっこうたくさんあるんですが、70%以上となるとオリジン オリジナルとかAATUとかプラチナムくらいでしょうか?

それらのブランドは

「なぜたくさんの肉を使用したフードが望ましいのか?」

という理由として、

「犬の祖先であるオオカミやコヨーテは肉食なのだから、人に飼われて雑食に変わってきたと言っても今でも犬は肉をたっぷり使ったドッグフードがベスト」

と説明します。

しかし、この説は2つの点で必ずしも正しいとは言えないようなのです。

実は野生のオオカミやコヨーテも雑食?

犬が本来肉食であるという根拠になっているのが祖先のオオカミが肉食であるからということになっています。

しかし、オオカミや近縁のコヨーテは実際には完全な肉食というわけではないようなんです。

もちろん普段はネズミやウサギなどの小動物から、シカやイノシシのような自分たちより大きな獲物まで倒して食べています。

大きな獲物を倒せばお腹いっぱい食べられますが、いつも狩りが成功するわけではなく、数日間餌にありつけないことも。

MEMO
ゆえに犬やオオカミの摂食様式のことを「饗宴か飢饉か」と呼ばれることがあります。

このように餌にありつけずお腹を空かしているときは、オオカミも食べ物を肉にこだわりません。

人の生活圏に近ければ、人が食べ残した残飯でも食べます。

つまり犬の祖先であるオオカミも状況に応じて何でも食べる雑食になるのです。

オオカミは植物を消化しやすいように進化済み

オオカミも雑食なんだと言われても

「お腹が空いたときにたまたまあった残飯を食べるだけじゃないの?」

と思うかもしれませんね。

でも、雑食に適応するように犬やオオカミの体は進化しているのです。

MEMO
基本的に犬の体の作りはオオカミと変わりません。
人に飼われるようになってたかだか1万年なので、オオカミから大きく変化しているわけではないのです。

まずは歯ですが、犬もオオカミも臼歯が多く生えています。

完全な肉食である猫と切歯(前歯)と犬歯の数は一緒ですが、犬やオオカミの臼歯の数は12本も多いのです。

つまり、何でも食べられるように適応しているということ。

MEMO
草食動物では切歯や犬歯が退化し臼歯が発達しています。

同じような体の変化は腸の長さにもあらわれています。

一般に、肉食動物は腸が短く、草食動物は腸が長いといわれています。

完全な肉食動物である猫の腸の長さは体長の約4倍。

草食動物である馬では体長の約9倍。

それに対し、犬は体長の約6倍となっていてちょうど中間。

まさに何でも食べられる雑食にふさわしい長さになっているのです。

つまり、犬は人の飼われるうちに雑食に変わってきたのではなく、祖先のオオカミの段階ですでに雑食に変わってきていたのです。

穀物主体のフードより肉主体のフードを好む

オオカミも雑食といっても、ほぼ肉食で状況に応じた雑食です。

犬もその傾向は変わりません。肉が大好きなのです。

穀物主体のフードと肉主体のフードがあれば、たいていのワンちゃんは肉主体のフードを選びます。

しかし、それも絶対ではなく、

  • 犬の頃の食べていたもの
  • 生来の好み
  • 食材に対するアレルギーの有無
  • これまでの経験からくる条件付け(犬は体調が悪いときに食べていたフードを関連付けて食べなくなることがある)
  • おやつや人の食べ物で嗜好性が強くなる

などのいろいろな要因で穀物と肉の好みは逆転することもあります。

ドッグフードに穀物類は必要?害になる?どっち?【ネットでは意見が分かれる】

極端に肉が多く使われたフードは必須ではない

雑食だけど肉が好きな犬なので、ドッグフードの肉の比率が高いほうがよく食べてくれることが多いでしょう。

しかし上に書いたように、ワンちゃんそれぞれの好みは十犬十色。

70%、80%も肉を使ったフードを必ずしも愛犬が喜んでくれるとは限りません。

栄養面でも猫ほどタンパク質を必要としないので、大量の肉を使ったフードでないといけないわけでもありません。

よほどハードな運動をする猟犬や闘犬、あるいはアジリティーを行っている犬では必要かもしれませんが、一般の愛玩犬であれば50%も肉を使用していれば十分だと思います。

まとめ

より多くの肉を使ったプレミアムドッグフードのコンセプトや、穀物を使用したドッグフードへの批判理由としてよく言われる

「祖先のオオカミは肉食だから」

という根拠は少し間違っていたようです。

とはいってもワンちゃんは肉が大好きな子がほとんどですから、肉が主原料のフードの方がベターなのは間違いありません。

しかし、肉の比率が極端に高いものにこだわる必要はないようですね。