食物アレルギーでしょっちゅう痒がっている愛犬をみていると、なんとかしてあげたくなりますね。
一口に食物アレルギーといっても、広範囲に毛が抜けて皮膚が荒れる症状のきついものから、ちょこちょこ痒がる程度のものまでさまざまです。
痒みがひどいのなら病院で治療を受けるのが最善ですが、まだ軽い段階であれば家庭でのケアだけでもいい状態に維持できるものです。
この記事では家庭でできる食物アレルギーの皮膚ケアについてご紹介します。
目次
食物がアレルゲンとなっているのなら、アレルゲンを避けるのがアレルギー治療の鉄則。
環境アレルゲンによって起こるアトピーではアレルゲンを確実に避けるのはむずかしいですが、食物アレルギーではアレルゲンを使用していないフードを与えることで発症を抑えることができます。
食物アレルギーとアトピーがよくわからない方は、食物アレルギーとアトピーの違いを書いた記事を先に見てください。
愛犬がどっちなのか判断が付いていないのなら一度病院で診てもらいましょう。

痒みが強くて、掻きすぎて毛が抜け皮膚に湿疹ができ皮膚が象のように厚くなっていきているのなら、病院で処方される療法食を食べさせるのが一番です。
今の療法食はタンパク質を分解してアレルゲンとならないように処理されているので、理論的に食物アレルギーが起こらないように作られています。
アトピーを併発していなければ、療法食を食べさせることでそれまで薬に頼っていたワンちゃんが、薬なしでもコントロールすることができるようになります。
ちゃんが、薬なしでもコントロールすることができるようになります。
多少痒がっても、毛が抜けたり皮膚が荒れたりするほどではないのなら、市販の低アレルゲンフードを食べさせてみるのも1つの方法です。
理想的にはアレルギー検査(リンパ球反応試験)を受けて、どの食べ物がアレルゲンになっているかを調べるのがいいです。
しかし、検査できる食べ物の種類は限られていて、他の食べ物がアレルゲンとなっていたら見つけることはできません。
検査には費用がかかりますし、この程度の症状でそこまでするのはどうかなぁという場合には、市販の低アレルゲンフードを試してみるのもいいでしょう。
アレルゲンとなりやすい小麦を避けたグルテンフリーであることは最低限で、可能なら動物性タンパク質源は新奇タンパク質(愛犬が今まで食べたことのない変わったタンパク源)を使用したフードを選んでみましょう。
手探りなので初回に選んだフードで効果を感じられるとは限りませんが、いくつか試していくうちに愛犬にあったフードにめぐりあうでしょう。

ちょくちょく勘違いされることがあって、療法食を食べさせれば間食は普通に食べてもいいと思っている飼い主さんがいるんです。けっこう多いんですよ。
療法食を薬の代わりのように思っているんですね。他の病気の療法食でもよくあります。
だから、療法食さえ食べておけば間食はしても問題ないと思っているのです。
食物アレルギーの療法食はあくまでも発症の原因になっているアレルゲンを含まないように作られているだけです。
けっして食べることでアレルギーが治るわけではありません。
間食に食べているものにアレルゲンが入っていれば療法食は何の意味も無くなってしまいます。
このことは市販の低アレルゲンフードでも同じこと。
別のものを食べさせるときは低アレルゲンフードに使われている材料以外は避けたほうが無難でしょう。
食物アレルギーでは、アレルゲンが複数関わっていたりアトピーも重なっていたりして、食べ物を低アレルゲンフードにしてあげても症状がすっきり無くならないことは珍しくないです。
そもそも痒みの全体を100%としたとき、食物アレルギーによるかゆみが100%を占めるわけではありません。
ベースには生理的な痒みがあり、皮膚が汚れていても痒みをアップさせます。食物アレルギーにアトピーがあればその分も痒みが増えいていて、細菌の二次感染があればさらに増えます。
目にしている愛犬の痒みはこれらのトータルしたものなので、低アレルゲンフードで食物アレルギーの痒みを解決しても他の原因による痒みが残ってしまうわけです。
そこでシャンプーを頻繁にしてあげることで常在菌である細菌やカビを減らし、皮膚を清潔にいい状態に維持してあげるシャンプー療法が痒みの緩和に非常に有効になります。
上に書いたことと重複しますがシャンプーで皮膚を清潔にしてあげると痒みはかなり楽になります。
われわれ人間でもしばらく風呂に入っていないと、特に皮膚が荒れていないのに痒くなってきますよね。
もともと生理的な痒みが誰でもあるものですが、皮膚が汚れていたり脂っぽかったり、逆に乾燥気味だったりすると痒みのレベルが上がってきます。
雑菌が繁殖して皮膚炎を起こす手前の状態になっているかもしれません。
ワンちゃんだって同じです。
定期的にそれも頻繁にシャンプーすることで、これらの余分な痒みの増加を防ぎ、痒みを楽にしてあげることができるのです。
アレルギーを持っているワンちゃんに使うシャンプーは薬用の殺菌性シャンプーが基本。
普通の市販のシャンプーでは殺菌性がないですし、頻繁なシャンプーによってかえって皮膚が荒れてしまうかもしれませんので、必ず治療用の薬用シャンプーを使うようにしましょう。
動物病院ではクロルヘキシジンを配合したシャンプーがよく使われます。
これなら少々の肌荒れがあってもシャンプーすることができます。
愛犬の皮膚がかなり脂っぽい状態であれば、クロルヘキシジンよりも脂を落とす作用の強い過酸化ベンゾイル配合のシャンプーの方がいいかもしれません。
愛犬の肌にあったシャンプーをかかりつけの病院で選んでもらいましょう。

シャンプーする時に注意したいのが使う水の温度。
人のお風呂のシャワーと同じ感覚で40℃くらいのお湯を使いがちですが、アレルギーなどの問題がある場合は皮膚を温めると痒みが増してしまいます。
またお湯ではバリア機能を担っている皮脂を落としすぎるという問題もあります。
寒い季節はある程度のお湯を使うのは仕方ありませんが、温かい季節では水温は30℃くらいの水温にして洗い流しましょう。
シャンプーの回数は皮膚が汚れている・痒みがけっこうあるのなら、最初は週に2~3回くらいはするようにしましょう。
皮膚の状態が落ち着いて痒みも許容できるレベルなら、徐々に回数を減らしてあげても大丈夫です。
痒みがほぼ正常レベルに落ち着いたとしても、予防のつもりで週に1回くらいはシャンプーをしてあげてください。
もし、シャンプーが大変でなかなかできない場合、症状の出る場所がお腹だけとか腋だけとか限定されているのなら、その部分の局所シャンプーだけでも頑張ってみてください。
薬用シャンプーの場合、薬効成分を十分効かすために泡立てた状態で10分くらい置いておく必要があります。
その上、すすぎを念入りにしないとシャンプー液が残ってシャンプーによる皮膚炎が起こることもあります。
水が大好きなワンちゃんなら苦労はないですが、たいていのワンちゃんはシャンプーを嫌がるもの。
時間のかかる薬用シャンプーをきっちりやるのはなかなか大変です。
難しいときには、シャワーをするだけでも痒みを抑える効果は期待できます。
殺菌効果はないですが、シャワーすることで細菌やカビの数を大幅に減らすことはできます。
汚れや皮膚についた花粉などの環境アレルゲンを洗い流すという意味でも効果が期待できます。
シャンプーのときと同様に水温は温かすぎないように注意してください。
おうちでシャンプーをよくしている方でも、シャンプー後の保湿まで気を配っている方はなかなかいません。
シャンプー後は皮脂が抜けてしまうので、必ず保湿をしてあげてください。
特に回数を多くシャンプーするときは乾燥が進みやすいので、保湿はより大切です。
いろいろな保湿剤がありますが、どれがいいか分からなければかかりつけの病院に聞いてみましょう。
前述のように乾燥すると痒みが増す原因になります。
シャンプー後に保湿剤を使うのは必須なのですが、普段から乾燥肌のワンちゃんではシャンプーしない日でも保湿剤を使うといいですよ。
人ではアトピーの人では皮膚の細胞の間に浸透している皮脂の成分に異常があることがわかっています。
皮脂の異常により皮膚のバリア機能が低下して、細菌の侵入を許すことがアトピー症状の悪化に関係してくると考えられています。
犬の場合もほぼ同じようなものだと考えられていて、脂質のサプリメントが花盛りです。
スポットオンタイプで直接脂質を供給するタイプ(セラミド)や飲むタイプ(オメガ脂肪酸)などがよく使われます。
オメガ脂肪酸は最近のプレミアムドッグフード、低アレルゲンフードでは強化されているものが多いですね。
それだけでもいいかもしれませんが、より効果を期待して別にサプリメントを使うのもいいと思います。
食物アレルギーといっても軽いものから酷いものまでさまざまです。
軽いものでは家庭でのケアだけでもけっこういい状態にできるものです。
ちょっと気になる程度の痒みなら、基本の低アレルゲンフードに加えて、シャンプーや保湿を取り入れてみましょう。
効果があったときには、愛犬の落ち着く様子を見て、思っていた以上に痒みがストレスになっていたことに気づくと思います。