ホームセンターやペットショップのドッグフード売り場に行くと、子犬用・成犬用・シニア用などのライフステージに合わせたさまざまなドッグフードが売られていますね。
「そろそろシニアの年齢だからフードを変えないといけないのかな?」
と思っても、実際には健康であればシニアの年齢でも見た目には変わらないし、元気も食欲も変わりません。
飼い主さんからしたら、うちの子に本当にシニア用のフードが必要なのか?迷ってしまうかもしれませんね。
この記事では、シニア期のドッグフードに切り替えるべきか?の答えと、シニア用ドッグフードの特徴や切り替え時期について解説しています。
愛犬のドッグフード切り替え時期の判断の参考にしてください。
Dr.ノブ
タロ
目次
そもそもワンちゃんは何歳からシニアと考えればいいんでしょうか?
一般に、犬の年齢は人の年齢に換算すると、最初の2年で人の24歳に相当するほど一気に成熟し、その後1年につきだいたい人の4歳分の歳を取っていくと言われています。
犬 | 1年 | 1年半 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 | 6年 | 7年 | 8年 | 9年 | 10年 | 11年 | 12年 | 13年 | 14年 | 15年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
人 | 15歳 | 20歳 | 24歳 | 28歳 | 32歳 | 36歳 | 40歳 | 44歳 | 48歳 | 52歳 | 56歳 | 60歳 | 64歳 | 68歳 | 72歳 | 76歳 |
※大型犬は老化のスピードが早く、10年で人の75歳ほどに相当します。
この表はあくまでも目安です。歳の取り方には個体差があります。必ずしもこの通りに歳を取っていくわけではありません。
Dr.ノブ
愛犬の状況によって判断しましょう。
では、いつのタイミングでシニア用ドッグフードに切り替えるべきか?
これはなかなか難しい質問で全部の犬に統一された基準というのはありません。
一般的な判断で言うと愛犬がシニア期に入ったなら、
- 今、成犬用ドッグフードを食べているのならシニア用に変える
- 全ライフステージ対応を食べているなら変える必要なし
となります。
しかし、前述のシニア期の年齢はあくまでも目安で、個体によって老化のスピードは異なるもの。
特に、境界の7、8歳では迷うところですね。
個々のワンちゃんの状況によって判断は変わってくるので、愛犬の変化を観察して判断するのがベストでしょう。
例えば、
- 若い頃と変わらず、走り回って十分な運動量がある。
- 快食快便で健康そのもの。
ということなら、シニア期に入ってもしばらく成犬用のままでもいいでしょう。
でも、
- 若い頃に比べると大人しくなった。運動量も減っている。
- たまに便がゆるい。食いっぷりが落ちた。
など、変化が出てきているようなら、そろそろシニア用への切り替えを考えましょう。
判断が難しければ全ライフステージ用のフードを食べさせるというのも1つの方法です。
見た目には若い頃と変わらないのに、シニアの年代になると何が変わってくるのでしょう?
犬も歳を取るにしたがって筋肉量が減ってきて基礎代謝が下がってきます。
また、見た目に動きが変わっていないように見えても、若い時と比べたら1日のトータルの運動量は落ちているものです。
必要とされるカロリーが減っているのに成犬用ドッグフードをそのまま与えていると、カロリー過剰になって肥満の原因になります。
年齢が進むと犬も消化機能が衰えてきます。
消化不良からお腹を壊しやすくなったり、逆に腸の動きが悪くなって便秘になったりすることがあります。
栄養素の吸収が悪くなって、各栄養素の不足を起こしてくることも。
排便の様子に変わりがないか注意して観察しましょう。
歳を取ってくると味覚や嗅覚が衰えてきます。
それまでよく食べていたフードでも、感覚の衰えから食いつきが悪くなったり、消費カロリーの減少から食欲が低下して、食いつきが悪くなることもあるでしょう。
また、後で述べるように歯が悪くなり、痛くてドライフードが食べにくいこともあります。
毛の生え変わりには意外にたくさんの栄養を消費するものです。。
消化機能の低下から毛に必要な栄養素の吸収が悪くなり、皮膚の代謝機能の低下も起こってきます。
そのため、うまく生え変わらず冬毛がいつまでも残っていたり、毛玉になりやすくなったり、毛並みが悪くなってきます。
犬は虫歯になることはほとんどありません。
しかし歯石はつきやすく、日頃から歯みがきで歯のケアをしていないと、シニアになる頃にはけっこうな歯石がついているのが普通です。
歯石がつくだけならいいのですが、やがて歯周炎を起こしたり歯が抜けたりしてきます。
そうなると固いドライフードを食べると痛がるようになり、結果的にフードへの食いつきが悪くなってきます。
シニアのワンちゃんに与えるドッグフードは、上に述べたようなシニア期になって衰えてくる部分を補ってくれるものが理想的です。
シニアになって太りやすくなっているので、成犬用よりもカロリーを抑えたフードが望まれます。
また脂肪分も高エネルギーで肥満の原因となるので、過剰に入っていないものがベスト。
ただし、脂肪分は風味をよくするので、あまり制限されたフードでは食いつきが悪くなります。
高齢のワンちゃんはドライフードを与えない方がいい?で書いたように、もともとドッグフードは丸飲みしても大丈夫なように、消化しやすく作られています。

今のドライフードはシニアでも問題なく消化できるものばかりです。
でも、消化機能の低下したシニア犬には、より配慮されたシニア用フードの方がいいかもしれません。
下痢や便秘になりにくいように繊維質を増やしたものも適しています。
一般に成犬用フードよりシニア用フードの方が食いつきが良いということはありません。
むしろ、脂肪を減らしたり繊維質を増やしている場合はシニア用の方が食いつきが悪くなるでしょう。
なのでできるだけ風味を落とさないように、バランスよく必要な栄養を配合されたドッグフードが理想です。
老化にともなって関節の動きが悪くなったり、皮膚の代謝が衰えて毛並みが悪くなったりするのは人と変わりません。
シニア用フードでは、衰えてくる機能を助けるような次のような成分がよく添加されています。
グルコサミン(関節)※今では効果がないとされています。- コンドロイチン(関節)
- オメガ脂肪酸(被毛)
他に、老化には細胞の酸化が関係しているので、アンチエイジング効果を期待してさまざまな抗酸化物質が配合されていたりします。


昔は、歳を取ったワンちゃんにはタンパク質を制限したほうがいいと言われていました。
しかし、今は老犬にタンパク質を与えても問題ないという研究もあって考え方が変わってきています。
過剰はいけませんが、良質で十分なタンパク質を含んだものを与えましょう。
ただし、腎臓が悪くなってきた子にはタンパク質を制限する必要があります。
超高齢になってくると、消化吸収が悪くなり十分な栄養が摂れなくなったり、タンパク質を合成する能力が低下してきます。
健康を維持するために、通常のシニア用フードとは逆にカロリー・脂肪・タンパク質を増やしてあげる必要がでてきます。
愛犬がシニアと呼ばれる年齢に近づいて、上に挙げたような兆候が現れているのなら、フードの切り替えが必要かもしれません。
シニアと判断してフードをシニア用に切り替えるべきかどうかは、最初の結論で言ったように現在食べているドッグフードによって変わります。
通常の成犬用ドッグフードを食べているのなら、シニア用フードに変えたほうが良いでしょう。
今食べているドッグフードがシニア期の栄養条件を満たしていれば、わざわざシニア用のドッグフードに変える必要はありません。
ただしその場合は、栄養量を調節するために給与量を減らしていく必要があります。
Dr.ノブ
前述のように何歳からシニア期に入るかは個体差があります。
愛犬がシニアの年齢になったからといって、すぐにシニア用のフードに切り替えないといけないわけではありません。
シニアの年齢になっても若い犬に負けないくらい活発に動き回っている子もいます。
そんな子にシニア用フードを与えたら栄養が不足してしまうことに。
フードの切り替えはその子の状況に応じて判断するようにしましょう。
7~8歳になったらそろそろシニアと言われる年齢です。
今食べているドッグフードがシニアに必要な条件を満たしていなければ、シニア用ドッグフードに切り替えることを考えましょう。
ただし、愛犬の状況によって判断してください。
全年齢用のフードを食べているのなら、活動の低下とともに少しずつ給与量を減らすようにしましょう。