人間の食べ物と違い、ドッグフードに対しては原材料や添加物、有毒な成分などの規制はあまり厳しくありません。
ペットフード安全法が施行されたことで以前よりは改善されていますが、依然として明記されている規制物質はわずかしかないというお粗末さ。
ほとんどの添加物の使用は、ドッグフードメーカーの裁量に委ねられている状態です。
こんな状況では安心して愛犬にドッグフードを食べさせられないですね。
大切な愛犬の健康を守るには、安心・安全なドッグフードを見つけるのが何よりも大切です。
この記事では、安全なドッグフードを選ぶ上での重視すべきポイントについて解説しています。
安全なドッグフードを見極める参考になれば嬉しいです。
Dr.ノブ
タロ
目次
ドッグフードを選ぶ時により安全な製品を選ぶためのポイントをまとめました。
- 信頼できるメーカーを選ぶこと
- 無添加(化学合成された保存料・着色料・香料不使用)であること
- 主原料に動物性タンパク源(できれば肉副産物不使用)を使用していること
- グルテンフリー(あるいはグレインフリー)であること
- 十分な栄養価を含むこと
この5つのポイントを同時に満たすことが安全なドッグフードの必要条件です。
安全なドッグフードを見つける上で、まず何よりも大切なのは信頼できるメーカーを見つけること。
どんなに美辞麗句で製品をアピールしていても、メーカー自体が信頼できなければ全く当てになりません。
もっとも大切なことなので、後で 安全なドッグフードメーカーの見分け方を詳しく解説します。
人工添加物を使用していない無添加であることは、安全なドッグフードの基本。
添加物の害については科学的に結論が出ているわけではありませんが、愛犬の健康を願うのなら、同じものをずっと食べ続けることになるワンちゃんでは人よりも影響があると考えて、無添加の製品を選ぶのがおすすめです。
添加物のことをもっと知りたい方は、より詳しく添加物について解説した記事がありますので読んでみてください。

無添加をクリアしているのなら、次にチェックすべきは原材料の品質です。
添加物と同様に、人の食品に比べてドッグフードに使用できる原材料の規制はゆるゆるなんです。
品質の悪いフードでは、コストダウンのために穀物が多く使われていたり、巷でうわさの4Dミートやミール類が使用されていたりするもの。
質の悪い材料が使われていれば、食いつきが悪いという問題や保存性が悪いという問題も出てきます。
安全なドッグフードには、第1主原料(もっとも多く使用されている原料)として良質な動物性タンパク源が使用されているものです。
原材料表のトップに良質な動物性原料を使用している製品を選びましょう。
みなさんもよくご存知だと思いますが、ワンちゃんにはアレルギー体質の子が非常に多いです。
花粉などの環境アレルゲンによるアトピーの子もいれば、食べ物に含まれるアレルゲンが問題の食物アレルギーの子もいます。
食物アレルギーの中でも、小麦グルテンはもっともポピュラーなアレルゲンとして知られるもの。
食物アレルギーの厄介なのは、初期にはなかなか気づくことができないことです。
知らずにアレルゲンとなるフードを食べ続け、歳をとってからひどい症状が出てくることは珍しくありません。
そこで安全なドッグフード選びでは最初から小麦グルテンフリーの製品を選ぶのが無難でしょう。
(詳しくはアレルギーに関する情報集)
どんなに安全なドッグフードでも、栄養的に十分でないと、長期的には問題が出てくるかもしれません。
ドッグフードの栄養基準のスタンダードになっているのはAAFCO(米国飼料検査官協会)のガイドラインやFEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)のガイドライン。
栄養バランスに優れたフードを探すのなら、AAFCOやFEDIAFのガイドラインに沿って製造された製品を選ぶようにしましょう。
具体的な栄養量の数値についてはドッグフードに必要な栄養量をまとめた記事を参考にしてください。

「自分で探すのはなかなか大変」
「具体的に良いドッグフードを教えてほしい」
という方には、
おすすめの安全なドッグフードを以下のページでいくつかご紹介していますので、よければ参考にしてください。
原材料の品質にこだわれば、オーガニックやヒューマングレードの素材等を使用した高品質の製品がありますが、価格は高くなりますので予算との兼ね合いで判断しましょう。

上に書いたように、安全なドッグフードを見つけるためにもっとも大切なのが信頼できるメーカーを見つけることです。
でも、ドッグフードが安全かどうかや、メーカーが信頼できるちゃんとした会社なのかを、メーカーに直接問い合わせても本当のことは教えてくれないでしょうね。
そこはメーカーのサイトや対応など外部の要素から推測するしかありません。
安全なドッグフードメーカーを見分けるには、以下のポイントが判断の助けになります。
- サイトにドッグフードの内容を詳細に公表しているか?
- 消費者の疑問に答える姿勢の有無
- メーカーの実績
- AAFCOなどの基準を遵守しているか?
- 無添加への取り組みがあるか?
- 原材料へのこだわりがあるか?
ちゃんとしたHPを作って製品のことを事細かに紹介しているかどうかは。メーカーの信頼度を計る上で重要なポイント。
製品に自信があって力を入れているのならサイトの作りにも現れているはずです。
訪れた消費者の視点に立って分かりやすく、知りたいことが包み隠さず書かれてあって、すぐに見つけられるものでなくてはなりません。
ただ見た目がきれいなサイトに騙されてはいけませんよ。
お金さえかければ印象の良いきれいなサイトは作ることができますからね。
そこにメーカーの良心やフードづくりへの思いが表れているはずですから。
製品に自信のないメーカーは消費者への対応に消極的なことが多いものです。
反対に誰もが気になる製品の疑問点について、HP上でQ&Aなどで網羅してくれてるメーカーはポイントが高いですね。
一番いいのはわからないことを直接問い合わせてみること。
その時に親身になって答えてくれるメーカーは信頼度が高いと言えるでしょう。
今は品質が悪ければたちまちSNSで悪評が広まってしまう時代。
中には不満な人もいるでしょうが、その声をかき消すくらいに満足する人の声のほうが多いということですね。
また誰もが知っている大企業(ネスレや日清など)や有名メーカーであるということも、信頼できる要素の1つと言えるでしょう。
ドッグフードは栄養価に対しても法的な規制はありません。
しかし、ドッグフードメーカーでは良質なドッグフードを作るために、米国飼料検査官協会(AAFCO)の公表するガイドラインに沿った栄養基準を採用しているところが多くあります。
AAFCOのガイドラインはドッグフード(総合栄養食)の世界的な栄養基準になっています。
同様のものとして欧州ペットフード工業連合(FEDIAF)の栄養ガイドラインがあります。
こちらのガイドラインを採用しているメーカーも同程度に信頼できるものです。
健康志向の高まりとともに食品に無添加を求める人は多くなっています。
添加物の害について科学的な結論は出ていませんが、ワンちゃんの健康のことを考えているメーカーなら、できるだけ添加物を使わない、使うとしても安全性の高いものを使用するように考えているはずです。
ドッグフードには人では食用に使えない材料が使用されることが珍しくありませんが、添加物と違い材料にはリスクがあるわけではありません。
でも愛犬を家族同様に思っている飼い主さんの気持ちからしたら、抵抗があることも多いでしょう。
Dr.ノブ
どれを選ぶかは飼い主さんの価値観次第なので、ヒューマングレードの製品でなくても愛情が劣っているということでは決してありません。


国産か輸入品かはメーカーの信頼度ではありませんが、製品の良し悪しに関わってきます。
輸入品の場合、製造時に品質の良いフードであっても、輸送や倉庫での保管期間があり、その間の管理が悪いと消費者の元に届くまでに製品が劣化してしまう恐れがあります。
輸入元が直接販売しているものでは管理が行き届いていても、並行輸入品やいったん小売業者に渡ったものが改めてネットなどで販売されている場合は、流通経路での管理に問題があるかもしれません。
管理の悪い業者なら製品が劣化してしまっていたり、消費期限が短かくなってしまっている可能性があります。
信頼のできる小売業者でなければ、輸入品は輸入元から購入するのが無難です。

最後にドッグフードで規制されている添加物について詳しく解説します。
そもそも添加物とは食品衛生法において
栄養価の有無に関わらず、通常はそれ自体を食品として消費することはなく食品の典型的な原材料として使用されることのない物質であり、食品の製造、加工、調製、処理、充填、包装、運搬又は保存において、技術的な目的(感覚的な目的を含む。)で食品に直接的又は間接的に意図的に添加した結果、当該物質又はその副産物が食品の一成分となる若しくは食品の特性に作用する若しくはそのような結果が合理的に期待される物質をいう。
と定義されています。
平たく言えば、食べ物として摂取する目的ではなく、製品の品質維持や風味・色味をよくする目的や栄養価を高める目的で、加えられる物質のことです。
添加物には天然由来のものと人工的に合成されたものがあります。
ドッグフードに使用される添加物でペットフード安全法に記載されているのは以下のものしかありません。
分類 | 物質名 | 上限値 |
---|---|---|
添加物 | 亜硝酸ナトリウム | 100g/t(ppm,μg/g) |
エトキシキン | 75g/t(犬) | |
エトキシキン、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)の総和 | 150g/t |
しかもエトキシキンにいたっては人の食品では使用が禁止されているもので、魚粉や果樹などには使用されていてもその残留濃度はきわめて厳しい数値が設定されています。
詳しくは>>>ドッグフードには人では禁止されているエトキシキンが入っている!?
もともと添加物は化学物質がほとんどで、理論的には無限の種類を作ることが可能です。
そのため禁止添加物としてリストにするのは現実的ではありません。次から次へと新しい添加物が合成されて規制が追いつかなくなってしまいます。
そこで添加物はポジティブリストと言って、使ってもいい添加物を政府側が指定してリスト化しているのです。
食品添加物の指定添加物は454種、飼料添加物の指定添加物は157種(そのうち品質維持目的のものは17種、風味をよくする目的のものは2種)が指定されています。
一方、ドッグフードでは上の表以外の添加物については一切明記されていません。
それだけドッグフードの規制はゆるいということです。
タロ
規制がゆるいということは、つまり、それ以外の添加物についてはメーカーの裁量に任されているということです。
法的には、使用が妥当で健康のリスクがなければ、食品添加物にも飼料添加物にも含まれていない物質の利用も可能です。(ただし、健康上のリスクがないことを証明する安全性試験を自前でする必要があります)
家族同然の愛犬に与えるには不安がありますよね。
そこで、繰り返しになりますが、いち営利企業が作ったドッグフードを安心して愛犬に与えるためには、そのドッグフードメーカーがどれだけ信頼できるかが重要になってくるのです。
ペットフード安全法ができて改善されたとはいえ、ドッグフードの安全規格は十分とはいえません。
ドッグフードを安心して愛犬に与えられるかどうかは、ペットフードメーカーを信頼できるかにかかっているといっても過言ではありません。
最初にドッグフードを選ぶ際には納得いくまで、チェックしましょう。
それが十数年生きる愛犬の健康に関わってきますからね。