ドッグフードによく使われる原材料その7 タウリン

なぜタウリンが添加されている?

タウリンと聞くと栄養ドリンクのCMで

「タウリン〇〇mg配合!」

なんていうキャッチフレーズを思い浮かべる方が多いんじゃないでしょうか?

このタウリン、ドッグフードの栄養添加物としてもよく配合されているものなんです。

無添加のプレミアムドッグフードでは、良い原材料を使ってしっかり作ってあるのに、わざわざタウリンを添加しているのはなぜなんでしょう?

この記事では、タウリンに期待される効能とドッグフードに使用される理由について調べてみました。

タウリンとは

タウリンはアミノ酸の1種(厳密にはアミノ酸の誘導体)で動物にとってとても重要な物質です。

他のアミノ酸と違いタンパク質の材料とはなりませんが、生体内で重要な役割を担っています。

タウリンは動物性食品に多く含まれ、植物性食品にはほとんど含まれていないという特徴があります。

そのため完全肉食の猫では食べ物からのタウリン供給が十分なため、自分で合成する能力がほとんどなくなってしまいました。

一方、雑食の犬では自分の体内でタウリンを合成する能力を保っています。

ゆえに、猫ではタウリンは必須アミノ酸ですが、犬では必須アミノ酸ではありません。

タウリンには体の細胞を正常に保つ作用があり、特に肝臓・心臓・網膜で重要です。

タウリンの効能としては、

  • 肝機能を高める効果(代謝・解毒を助ける、胆汁の合成に必要)
  • 心筋の収縮に必要不可欠
  • 視力を保つのに必要
  • 聴力を保つのに必要
  • 血圧を保つ効果
  • コレステロールや中性脂肪を減らす効果
  • 抗酸化作用

などが挙げられます。

見てわかる通り、タウリンはいろんな機能に関わっている重要な物質。

逆に言うと、タウリンが不足すれば非常にまずいことになるのは容易に想像できますね。

タウリン欠乏症になると、

  • 拡張型心筋症
  • 網膜変性
  • 発育不全
  • 繁殖機能不全
  • 神経機能異常
  • 骨格形成異常

などが起こってきます。

Dr.ノブ

昔、猫がタウリンの少ないドッグフードを常食していると拡張型心筋症が起こってきて問題になりました。
今は、猫にとってタウリンが重要なことが広まったので、キャットフードにはタウリン含有量が記載されていることが多いですね。

ドッグフードにタウリンが添加されるのはなぜ?

上に書いたように、犬は体内でタウリンを合成することができるのに、ドッグフードにタウリンがよく添加されているのはどういうことなんでしょう?

実は、犬はタウリンを体内で合成できると言っても、十分な量をまかなえるほどではないようです。

特に、体の大きなワンちゃんほど合成が苦手で、同じドッグフードを食べていても体の大きいワンちゃんの方が血液中のタウリン濃度が低くなる傾向にあります。(ペット栄養学会誌 ,11(1):30・34,2008)

つまりドッグフードによってはタウリンが不足する可能性もあるということ。

食材だけで十分なタウリンが摂取できるドッグフードもありますが、原材料の内容によってはタウリンが不足する可能性があるため、欠乏症を起こさないようにタウリンが添加されているというわけです。

Dr.ノブ

ワンちゃんでもタウリン不足からくる拡張型心筋症が起こることがあり、小型犬より大型犬で起こりやすいことが知られています。
これは大型犬がタウリン合成が苦手ということにほかなりません。

タウリンにリスクはない?

タウリンはアミノ酸の1種なので安全なものです。

実験動物のラットでさえ、体重1kg当たり1g~1.5g摂取しても無毒と言われているほど。

ドッグフードに添加されているタウリンの量程度では、まったく心配に及びません。

欠乏症のほうが怖いので、タウリンを栄養添加されていることはむしろ喜ばしいと言っていいでしょう。

タウリンを多く含む食品

では、タウリンはどのような食品に多く含まれているのでしょう。

一般にタウリンが豊富と言われているのは魚介類。

以下に、代表的なタウリンの多い魚介類をまとめてみました。

魚介類 タウリン含有量(mg/100g)
サザエ 945
トコブシ 1250
ホタテ貝 116
車エビ 199
ヤリイカ 342
アジ 206
カツオ 167
マダイ 230

とこのようになっています。

つまり、魚を主原料にしたようなドッグフードでは、タウリンが添加されていなくても比較的十分な量のタウリンが摂取できると考えられます。

一方、お肉に含まれるタウリン量はどのくらいなんでしょう。

以下に、鶏肉、豚肉、牛肉のタウリン含有量を表にしました。

肉の種類 タウリン含有量(mg/100g)
鶏肉 278
豚肉 22
牛肉 30

このように鶏肉では魚介類並みにタウリンが豊富に含まれています。

なので、鶏肉を主体にしたドッグフードであれば、タウリンを添加していなくても欠乏する心配はなさそうです。

逆に、豚肉や牛肉が主原料のドッグフードでは、タウリンが添加されている方がいいのかもしれませんね。

MEMO
羊肉に関しては、タウリンの含有量を記載している情報は見つかりませんでした。
ネットでは羊肉はタウリン豊富と書かれていたりするのですが、実際にどのくらい含有されているのかなど具体的な情報がありません。
一方、2005年の報告でタウリン欠乏によると思われる拡張型心筋症の犬12頭すべてにおいて、主原料にラム肉、米あるいは両方を使用した市販ドッグフードを食べていたというデータがあります。(ペ ッ ト栄養学会誌8巻1・2号(2005))
はっきりしたことは言えませんが、羊肉を主体にしたドッグフードではタウリン不足に注意したほうがいいでしょう。

Dr.ノブ

タウリン不足が心配なら、魚や鶏肉をトッピングしたりするといいでしょう。
ただし、魚介類でも貝・イカ・エビなどは生で与えるとビタミンB1(チアミン)が壊されてチアミン欠乏症を起こす可能性があるので注意しましょう。

タウリンを添加しているドッグフード