犬を新しく飼う際に、
安全なドッグフードはどれか?
どのくらいの量を与えればいいか?
など、色々と悩みますよね。
しかし、案外見過ごされているのが、水についてのこと。
動物にとっては、飲み水は食べ物と同じくらい大切なものです
ドッグフードの安全性についてばかりでなく、水についても気を配ることはとても重要です。
この記事では飲み水を管理する上でのポイントをご紹介します。
Dr.ノブ
タロ
目次
ワンちゃんの体を構成する物質でもっとも多いのが水分です。
これはすべての動物に共通しますね。
ワンちゃんでは水分は体重のおよそ70%を占めるといわれています。
それだけに水分は健康にとって直接関わってくることで、絶妙なバランスで保たれる必要があります。
”散歩までオシッコを我慢できないから”とか、”すぐにそそうをするから”という理由で水を制限することは絶対にしてはいけません。
動物が必要な水分を摂取できないと脱水してしまいます。
水を制限をすると脱水が進行しないように尿の生成が抑えられますが、同時に血液が濃縮して循環が悪くなり健康を損なうことになります。
時にはこんな犬は膀胱に結石ができやすい!尿石症になりやすい7つの要因で書いたように、結石ができる原因になることさえあるのです。
なので、水はいつでも飲める状態にしておくことが鉄則です。
そもそもオシッコを我慢できないのは、トイレトレーニングの失敗か、泌尿器系の病気があるのかもしれません。
病院で一度診てもらい、病気なら治療が必要ですし、しつけの問題ならドッグトレーナーに相談するべきです。
水分を制限するなんて本末転倒ですね。
水をたくさん飲んでオシッコを大量にする症状が出ている場合に、原因を見極めるために水分を制限して反応を見ることはあります。
ただし、この場合も入院させて脱水に注意しながら行います。
自己流で勝手に家庭で水分を制限してはいけません。

ワンちゃんの中には水をほとんど飲まず、ミルクしか飲まないという子がいます。
これはワンちゃんが最初から水を飲まなかったわけではなく、飼い主さんが水代わりにミルクをどんどん与えていたことが原因です。
水分は日々たくさん補給する必要がありますから、水代わりにミルクを与えていたらいろんな栄養素を過剰に取りすぎてしまいます。
せっかく栄養バランスの取れた良質なドッグフードを食べていても、これでは意味がありません。
水分を摂取するのに水以外のもので代用するのはやめましょう。
また飼い主さんの中にはワンちゃんのことを思うあまり、高価なミネラルウォーターを飲水として与えていることがあります。
ミネラルウォーターは一見、ワンちゃんの体には良さそうに思えますが、あまりおすすめできるものではありません。
実はワンちゃんには腎臓や膀胱に結石ができる尿石症が多いのです。
結石の成分であるマグネシウムやカルシウムを含んだミネラルウォーターを与えていると、尿石症を起こす可能性が高くなってしまいます。
なので、ワンちゃんに与える水は特別なものではなく、水道の水で十分です。
浄水器の水はOKですが、ミネラルウォーターは与えないようにしましょう。

時間が経って傷んでしまうのはドッグフードだけではありません。
水もしばらく時間が経つと雑菌が繁殖してしまいます。
傷んだ水を与えないように、水の管理にも気を配ることは大切です。
昨今の健康ブームで、体に良い水(天然ミネラルウォーター)というのがよく売られています。
なんでもワンちゃん用の製品がある時代なので、ワンちゃん用の体に良いとされる水だってあるんですね。
ワンちゃんは家族同然で大切だからといっても、特別なワンちゃん専用の水を用意する必要はありません。
人は美味しさや健康を求めてミネラルウォーターを飲んだりしますが、別に水道水を飲んでいたって健康に問題があるわけではないのです。
一方、ワンちゃんではミネラルウォーターは上に書いたように健康に問題が出る可能性があり、むしろ水道水のほうが安全だといえるでしょう。
どうしても特別な体に良いとされる水を与えたいのなら、結石の原因になるようなマグネシウムやカルシウムを含まない水を選ぶようにしましょう。
これまで書いてきたように、ワンちゃんには特別な水を与える必要はありません。かえって害がある可能性もあるのです。
水は質に気を配るよりも、むしろ新鮮な水をいつも飲めるようにすることの方が大事です。
ドッグフードには良質な製品を選んだり傷まないように気をつけることはしていても、水の新鮮さを維持することは見落としがち。
一般に、ワンちゃんが水を飲む回数は食べる回数に比べてかなり多くなります。
それだけワンちゃんが口をつけるということ。
その都度、唾液が混入し水の鮮度は落ちていきます。
ドッグフードを食べた直後なら、フードのカスも水の中に混じってしまいます。
放置すればあっという間に雑菌が繁殖することに。
飲水は食事の時や量が減ってしまった時だけでなく、気づいた時にこまめに入れ替えるようにしましょう。
前述のように、ワンちゃんの飲む水を制限してはいけません。
では、ワンちゃんは1日にどのくらいの水の量を飲むのでしょう。
一般に、正常な犬は1日に体重1kgあたり45~90ccの水を飲むといわれています。
けっこう幅がありますが、小さなワンちゃんは多めに、大きなワンちゃんでは少なめになります。
1日あたりの飲水量は、表にするとだいたい次のような量です。
kg | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 15 | 20 | 25 | 30 | 35 | 40 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
量(ml) | 190 | 260 | 320 | 370 | 430 | 480 | 530 | 580 | 630 | 850 | 1060 | 1250 | 1440 | 1610 | 1780 |
この量を目安にワンちゃんがいつでも余裕を持って水を飲めるように、器のサイズを決めてあげてください。
もし、体重1kgあたりの飲水量が90ccを大きく超えているようなら、病気のサインである可能性が高いです。
多飲多尿は重大な病気の症状としてみられることが多いので、すぐに病院で調べてもらいましょう。

ワンちゃんの水は質にこだわるよりも、常に新鮮な水を好きなだけ飲めるようにしておくことが大切です。
水は体を構成する基本物質。
食べ物だけでなく、飲水にも注意を払ってあげましょう。